バックパックスタイルで、しかも所持金150万円という超貧乏旅行で23才から2年かけて5大陸90か国の“世界一周”ひとり旅を果たしたFカップ旅作家の歩りえこ(31才)。殺されかけた恐怖体験やレイプ未遂、無一文などさまざまな苦難に遭遇しながらも前向きに乗り越えてきた彼女に、型破りな旅行について振り返ってもらった。
――10月には女性のひとり旅が難しいイランも制覇したということですが、中東が好きなんですね?
歩:好きですね。人がもう断然、優しいので。
――中東は内戦やテロも頻繁に起きていて危険というイメージがありますが。
歩:それは多分、テロとかを引き起こす一部の過激派によるイメージですよね。それもある意味、あまりにピュアすぎることから起きていることだと思うんですよ。中東の人の気質は、ピュアでまっすぐすぎる。それが良くも悪くも極端になってしまうんです。人を好きになるとすぐに夢中になるし。今各地で起きている内戦にしても、おそらく周りの情報を一切受け入れないんですよね。悪いほうにいってしまうと怖いんだけど、いい方向にいくと、本当に究極的に優しいです。
――体力やたくましさは、旅の中で身についたもの?
歩:多分、体力というより気力がダメになっちゃうと、一気に体にくるんですね。一回旅の最中に気持ちが折れちゃうと、帰りたくなっちゃうんですよ。でもせっかく来てるのにそれはもったいないから、そういうときには、ちょっと奮発して日本食を食べてみたり、日本に電話をかけたり、気持ちを変える努力をすると少し修正できるんですよね。気力さえ持っていれば、体が動かなくなっても結構すぐ回復するんですよ。
――つらい体験も色々ありましたが、旅で良かったことは?
歩:やっぱり居候がいちばん良かったなと思います。例えばスリランカでは、全然裕福ではなく自分たちで手作りで生活を営んでいるような家の家族全員が私を受け入れて、私のために尽くしてくれた2週間だったんです。日本人だったら、知らない人を急に泊めたり絶対しないじゃないですか。でもそれって、文明があまり発達していないからこそできるんだなって思って。先進国って、逆に家族がバラバラじゃないですか。でもスリランカのそのお宅はインターネットとかそういうものが全くないから、娯楽というと、いつも家族と一緒にいるしかないんですよね。そうなると、絆が強くなって人と人とのつながりを大事にする。そういう温かみだったり、日本で味わえないようなことを知ることができたのがうれしかったですね。
――女性としては生理事情が気になりますが、どうだったんでしょうか?
歩:結構、生理用品は現地で売ってるんですよ。アフリカでも薬局で売ってましたし。ただ、おむつみたいに大きいんですよ。しかも、日本ってコットン100%だけど、向こうってナイロンなんですよ。すっごくムレてかゆくて、ほんとに困りましたね。どこの国も質は良くないです。日本は生理用品も世界No.1です。
――旅を通じて学んだことやいちばん実感したことは?
歩:“為せば為る”っていうことですね。人間って自分がやろうと思ったことは何でもできる可能性を持っていて、それをできないと言うのは言い訳だと私は思うんです。絶対これをやるんだと思っているといつの間にかそこにいるんですよね。それは旅に限ったことではなく、仕事もそうですし、自分がしたいと思う全てに当てはまります。旅だったら航空券やビザを取ったり、いろんな準備をしてそこに向かおうとする。例えば受験でも、会社に入るのでも何でも同じで、そのためのプロセスを踏んでいけば、絶対そこに到達すると思うんです。
――旅を通して価値観は変わりましたか?
歩:細かいことをいちいち気にしなくなりましたね、日本にいたときと比べて。人が自分のことをどう見てるとか、そういうことはすごくつまらないことで、人生、人に迷惑かけなければ、やりたいことをやって、自分の幅を広げないとすごく損だなって思ったんです。
――最後に、世界一周してみて見えた日本、気づいたことは?
歩:日本食やお風呂、人のホスピタリティーとか、あらゆる意味で世界一番だなって思いますし、マナーや秩序を重んじるところが、世界の国々に比べてずば抜けていると思います。震災のときもそうでしたが、危機的な状況になっても順番を絶対に守るじゃないですか。自分よりも人のことをまず先に考えるというのは、絶対に他の国にはないと思うんです。世界的に見れば珍種みたいな(笑い)。あと、日本人の女の子はほんとに性格も外見もかわいいと思います。私が男性だったら、絶対に日本人女性とつきあいたいですもん。
【歩りえこ(あゆみ・りえこ)】
1981年9月22日生まれ。東京都出身。清泉女子大学卒業。女優、ラジオパーソナリティー、レポーター、グラビア、写真家、旅作家としてテレビやラジオ、雑誌とボーダレスに活躍する。学生時代に所属していたチアリーディング部で全国優勝し、全米選手権大会に招かれ海外を初体験したのを機に海外旅行に興味を持つ。2005~2007年の2年間で5大陸90か国(現在91か国)を訪れ、世界一周を果たす。