投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、11月26日~30日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、安倍自民党総裁発言を受けた「安倍トレード(日本株買い・円売り)」が継続することが予想されるため強含みに推移すると予想される。米系インベストメントバンクなどの来年のドル・円相場予想が90円台に乗せて来ており、テクニカル分析でも、83円から年初高値84円を上抜けた場合、目標値90円台が点灯することで、円安リスクを警戒する展開となる。
円高要因としては、総選挙に対する世論調査で自民党が劣勢となった場合、27日から再開する米下院で「財政の崖」に関する協議が難航した場合、ギリシャに対する第2次金融支援が先送りされた場合、などが想定される。
【ユーロ圏財務相会合】(26日)
ギリシャ債務問題に関して最終的な合意がされた場合は、ギリシャに対する第2次金融支援(1300億ユーロ)が実施されることで、リスク選好の円売り要因となる。
【米系企業のリパトリ(外貨建て資産売却・ドル買い)】
米系企業は、12月決算に向けて海外の利益を米国へ送金する取引、リパトリ(外貨建て資産売却・ドル買い)を行うため、ドル買いに拍車がかかる可能性が高まる。
【中東有事のドル買い】
米国の中東戦略は、原油の安定的供給を主眼に軍事的介入を断行してきたことで、中東有事はドル売り材料だった。しかしながら、シェールガス・オイル革命により、米国の原油生産量がサウジアラビアを上回る可能性(貿易赤字の減少)も現実味を帯びてきていることで、中東有事に対する米国の関与が無い可能性(財政赤字の減少)、有事のドル買いがリスクシナリオとなりつつある。
【テクニカル分析】
ドル・円相場は、75円32銭を頭とする「逆ヘッド&ショルダーズ」を形成しており、ネックラインを上抜けた場合、9.40円程度の上昇が予想される。今週のネックラインは、83円18銭から83円16銭で推移しており、上抜けた場合は、目標値92円処が点灯する。ネックラインを上抜けた場合、これまでのレンジ75円~85円が、85円~95円に移行する可能性が高まることになる。
【米国7-9月期国内総生産(GDP)】(29日)
米国の7-9月期国内総生産(GDP)改定値は、速報値の前期比年率+2.0%から、+2.8%へ上方修正される見通しとなっている。予想通り上方修正された場合は、ドル高トレンドに拍車をかける可能性が高まる。
今週発表の主要経済指標のポイントは次の通りとなる。
○(米)10月耐久財受注 --27日(火)日本時間午後10時30分発表
・予想は、前月比-1.0%
参考指標となる10月ISM製造業景況指数の内訳「新規受注DI」は54.2と9月52.35から拡大。10月の各地区連銀公表の製造業関連指標はニューヨークが改善したが、フィラデルフィア、リッチモンド、カンザスシティーは悪化。コンセンサスは妥当か。
○(米)11月消費者信頼感指数 -- 27日(火)日本時間28日午前0時発表
・予想は、73.0
米国株式市場は調整局面入りの様相を呈している。「財政の崖」問題に対する消費者の懸念は残されているようだ。雇用情勢は回復基調にあり、住宅市場もまずまずだが、10月との比較で大幅な上昇は期待できない。
○(米)10月新築住宅販売件数-- 28日(水)日本時間29日午前0時発表
・予想は、38.6万戸
参考指標の住宅建設業者(NAHB)指数は10月が41。直近では30年固定型の住宅ローン金利は3.34%まで低下し、過去最低水準を更新している。ただし、住宅ローン申請指数内訳の新規購入指数は10月19日時点で184.2に低下し、マイナス要因。横ばいないし若干の減少が予想される。
○(米)7-9月期国内総生産改定値 --29日(木)日本時間午後10時30分発表
・予想は、前期比年率+2.8%
貿易赤字幅の縮小が改定値に反映される可能性がある。個人消費の実績がキーポイントになりそうだが、速報値との比較で上方修正される可能性が高い。
○(日)10月全国消費者物価指数 --30日(金)午前8時30分発表
・予想は、全体の指数が、前年比-0.4%、コア指数は、同比」-0.1%
原油価格の低下が下押し要因となりそうだが、参考指標となる10月の東京コアCPIは、前年比-0.4%。全国ベースでも9月の-0.1%との比較で物価下落率は拡大する可能性がある。
主な予定は、26日(月):(米)10月シカゴ連銀全米活動指数、27日(火):(米)9月S&P/ケース・シラー総合20、(米)地区連銀経済報告、29日(木):(米)10月中古住宅販売仮契約、30日(金):(日)10月完全失業率、(米)10月個人所得、(米)10月PCEデフレータ
[予想レンジ]
・ドル・円80円00銭-85円00銭