野田佳彦総理の解散宣言により、日本の政治が大きく動き始めている。そして、解散・総選挙で政治家の離合集散が連日報じられている。だが、政治を知り尽くした村上正邦氏(元自民党参院議員)、平野貞夫氏(元民主党参院議員)、筆坂秀世氏(元共産党参院議員)は呆れ果てており、これから政治はどうなるのかを3人が鼎談した。
* * *
筆坂:とにかく石原(慎太郎)さんでも、小沢(一郎)さんでも、自民党幹部でも、維新にすり寄っていくのは本当にみっともない。橋下さんは府知事選も市長選も圧勝したが、政治家としてのキャリアはまだまだですよ。一つぐらいプライドのある政党はないのかと思ったら、あった。日本共産党(笑い)。
平野:結局、日本維新の会は太陽の党と合併するわけですが、石原さんというのは憲法改正論者で、中国を「支那」と呼んだり、特殊な価値観をもつ人です。橋下さんの理念とは合致せず、矛盾しているとしか思えない。
村上:「維新八策」だの気の利いた文章を書いているが、石原慎太郎の「総理になりたい」という野望と、橋下徹の「その次を狙う」という野心が結びついた野合以外の何物でもない。小異を捨てて大同につくというが、政策的に一致するわけがない。石原を担いで石原新党を結成しようとした私でさえ(※)、首を傾げざるをえない合併だね。
だいたいね、知事3年に市長1年でどれだけ実務をやったのかね、橋下は。それでいっぱしの政治家のような顔してさ。それに期待する。世の中を作っているマスコミも問題なんだよ。今日、タクシーの運転手と話していたら、「マスコミのことをマスゴミ、自民党のことを駄民党という」って教えられた(笑い)。
【*注】村上氏は、平沼赳夫氏、亀井静香氏などとともに、石原新党構想を画策したが、亀井氏が離反し、後に石原新党そのものも維新の会に吸収された。
【鼎談参加者】
●むらかみ・まさくに:1932年生まれ。1980年に参議院議員初当選。自民党国対委員長、労働大臣、参議院自民党幹事長、参議院議員会長を歴任した。
●ひらの・さだお:1935年生まれ。衆議院事務局に務めた後、1992年に参議院議員初当選。自民党、新進党、自由党、民主党を渡り歩いた。
●ふでさか・ひでよ:1948年生まれ。日本共産党入党後、1995年に参議院議員初当選。党中央委員会常任幹部委員、書記長代行などを務めた。
※週刊ポスト2012年12月7日号