2012年12月21日だという。何がって? 「地球が滅びる日」がこの日なんだそうな。古代マヤ文明の暦がこの日を最後に終わることから広まった終末論は、映画や小説の題材にもなり、恐怖を煽っている。で、いま大変な騒ぎになっているのがこの村、フランス南部の山村ビュガラッシュ村。
人口わずか200人の村には、その名もビュガラッシュ山という不思議な山がある。山頂の地層が下の地層よりも数百万年古いといわれ、以前より注目を集めていた。予言者ノストラダムスが訪れた地でもあり、UFOの目撃例が多いことでも知られている。
この神聖な場所が、新興宗教団体によって「唯一、生き残れる場所」といわれ始めたのが2年ほど前。結果、遠くメキシコや欧米各地から、神秘主義者や新興宗教信者などが大挙して押し寄せ始めたというわけ。その数、マックスで3000人!
「マスコミや映画関係者、治安当局からの電話が一日中、鳴りっ放しです。休む間もありませんよ」とは、ドゥロール村長(69歳)。数少ない宿泊施設のある隣町のホテル経営者によると、「ずっと忙しく、宿泊者の大半は世界各国からやってきた信者たち」とのこと。
ビュガラッシュ村では便乗した人々が、訪れた信者向けに、UFOワインやUFOの合成写真の絵はがき、山の石ころを「神聖な石」として売り出している。
一歩、山に足を踏み入れれば、平地にはテント&キャンピングカー。もちろん予言を信じる人々だ。彼らは、山の頂上で笛を吹きながら大地と交信したりするという。
警察も仕方なく、300人の警官をこの地に派遣することを決めた。いざというときの信者の集団自殺対策だという。
Xデーに向け、騒ぎは大きくなりつつあるが、村人いわく、「普通の観光客が来なくなってしまった」というから、地元にとってはこの大騒動、痛し痒しか。
撮影■Miquel Benitez Morilla
※週刊ポスト2012年12月07日号