連日繰り広げられる総選挙を睨んだ政党や、政治家たちのパフォーマンス。だが、政治を知り尽くした村上正邦氏(元自民党参院議員)、平野貞夫氏(元民主党参院議員)、筆坂秀世氏(元共産党参院議員)は呆れ果てていた。3人が「こんなの政治といえるか、選挙といえるか!」とばかりに緊急鼎談する。
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村上:まあしかし、15も政党があるのはちょっと異常だわな(11月20日時点)。民自公に対してある程度固まらないといけない。
筆坂:選挙対策で新党を作っているだけだからね。
村上:そう。このままだと全滅だから、まとまる可能性はありますよ。こんなに多かったら、有権者も選べない。維新とは別に、渡辺喜美(みんなの党代表)を亀井静香(減税日本・反TPP・脱原発を実現する党幹事長)と小沢一郎(国民の生活が第一代表)が担ぐのはどうか。第3極といっても3つか4つぐらいにしておかないと。
筆坂:渡辺さんも、ずっとみんなの党をやっていくつもりはなくて、最初から「政界再編の起爆剤になる」といっていて、消滅する政党を作っているんだから。私は渡辺さんはそんなに筋が悪くないと思っている。彼はブレていないでしょう。
村上:あいつは口を開けばアジェンダ、アジェンダで、アジェンダ病だけどね(笑い)。
筆坂:自民党を出て、それなりに存在感のある党を作ったという点は評価できますよ。
村上:渡辺さんには安倍(晋三・自民党総裁)さんにない泥臭さがあるよね。百姓の匂いがする。
平野:ただ、政界再編というが、渡辺さんはそのためのストラテジーをもってない。票を釣るための「政界再編」でしかない。
筆坂:それはそうかもしれない。その意味では、一貫してブレてないのは亀井さん。選挙で国民の支持を得られるかどうかわからないけれども、自分の信念を貫いて筋は通している。
村上:最近聞いた話だけど、亀井は小沢に接触をはかろうとしているが、門前払いされているらしい。だから亀井に「お前、小沢に嫌われているよ」と教えてやったんだが(笑い)、平野さん、なんで小沢は亀井に会ってあげないの?
平野:いや、私は関与していませんが、まとまるという方向で話が進んでいると聞いています。11月19日の記者会見では反TPP、脱原発、消費増税凍結の3つが一致するなら、どことでも組むという話でした。
村上:それで亀井は新党の名前を「反TPP・脱原発・消費増税凍結を実現する党」というおかしな名前にしたのか。合流すれば党名はなくなるからな。小沢が亀井を立てて抱えりゃいいんですよ。小沢が表に出ても、嫌われているから勝てないし(笑い)。
筆坂:だから、維新に袖にされたみんなの党や減税日本も、亀井さんも小沢さんも新党大地もみんな一緒になればいいんですよ。このなかで誰を立てるかといったら、渡辺さんしかいないでしょう。そうでもしないと第3極なんて自滅ですよ。
【鼎談参加者】
●むらかみ・まさくに:1932年生まれ。1980年に参議院議員初当選。自民党国対委員長、労働大臣、参議院自民党幹事長、参議院議員会長を歴任した。
●ひらの・さだお:1935年生まれ。衆議院事務局に務めた後、1992年に参議院議員初当選。自民党、新進党、自由党、民主党を渡り歩いた。
●ふでさか・ひでよ:1948年生まれ。日本共産党入党後、1995年に参議院議員初当選。党中央委員会常任幹部委員、書記長代行などを務めた。
※週刊ポスト2012年12月7日号