50才を超えても30代に見える大人気ドクター・南雲吉則(なぐも・よしのり)先生(57才)が、読者から寄せられた体に関する相談に答える。今回は効率的な勉強法について。医師の立場から解説する。
【相談】
小学生の息子がいます。これからどんどん勉強が難しくなっていくと思うのですが、どうすれば勉強好きな子になりますか? また、どんな勉強方法が効率的なのでしょうか?(41才・主婦)
【南雲先生の回答】
子供の成績、お母さんは心配だよね。“なんとか勉強好きな子になってほしい”と願う親心はよくわかるけれど、そもそも勉強が好きな子供って少ないんじゃないかな。ゲームやスポーツは放っておいても夢中になるけど、自分から進んで勉強する子はあまりいないよね。
といいながら実はぼくは、勉強が大好きだったんだ。なぜって、父にいつも「我が家のホープ」とほめられて、自分は勉強ができるんだと思い込んでしまったから(笑い)。そういう自信って、実はすごく大切。ズバリ、子供を勉強好きにして成績を上げる方法は“ほめる〟ことなんだ。
ぼくは“父親にほめられて勉強が好きになった”と言ったけど、もし逆に“勉強しなさい”と言われていたら、あんなに好きにならなかったんじゃないかな。嫌いなニンジンを“食べなさい”と言われてますます嫌いになるのと一緒で、“勉強しなさい、しなさい”と言われると“勉強=嫌なもの”と記憶されてしまうからね。
勉強好きになるには、この“記憶”のメカニズムを理解することがとても重要なんだ。
人間は、寝ている間に脳の“海馬”という部分で情報を仕分けしている。起きたことや見たものなどを全部そのまま覚えていると脳の容量を超えて溢れるから、たくさんの情報の中から必要な情報を整理しているんだね。
例えば蛇にかまれて痛かったりこわかったりしたら“蛇=嫌な記憶”としてインプットする。一方、おいしい食べ物、例えばケーキを食べたときは、“ケーキ=好きな記憶”にインプットするんだ。
だから、“勉強しなさい”とうるさく言うよりも、子供が勉強しているときや勉強したことに対して、とにかくほめてあげることが大事。そうすれば、「勉強するとほめられてうれしい」という回路ができて“勉強=好きな記憶”に仕分けられ、進んで勉強するようになると思うよ。
算数や国語だけでなく、子供が興味を持つもの、例えば恐竜や魚の名前とかを覚えたことでも、ほめてあげるといいね。勉強が好きになる、きっかけになるんじゃないかな。
しかも、ほめることは勉強に大切な“集中力”も高めてくれるんだ。子供って、好きなことにはすごく熱中して、のみ込みも早いし、内容もずっと覚えているよね。でも勉強はすぐに飽きてしまう。
「もーまたゲームやってる!」「マンガ読まずに勉強しなさい!」なんて怒ってしまう人も多いんじゃないかな。でもあなたのお子さんが、ゲームでもマンガでもなんでも、集中・熱中していたら、とにかくほめてあげよう。そのうち、“集中すること”自体が“好きな記憶”としてインプットされる。そうすると集中することが快感に変わって、勉強も集中してできるようになるよ。
※女性セブン2012年12月13日号