アンチエイジングの第一人者として、『100歳までボケない101の方法』の著者である白澤卓二順天堂大学教授によると、「インスリン」で寿命も変わるのだという。
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インスリンと聞くと、多くの人が糖尿病を連想するだろう。膵臓のβ細胞がインスリンを分泌しなくなる場合は「1型糖尿病」、分泌が低下しなくてもインスリンの効きが悪くなることで発症する場合は「2型糖尿病」と呼ばれている。厚生労働省の健康・栄養調査(2007年)では、全国で糖尿病患者は890万人、糖尿病の予備軍は1320万人で、合計2210万人に達し、そのほとんどが2型糖尿病である。
慶應義塾大学の広瀬信義博士らの研究によると、100歳以上の「百寿者」には糖尿病とパーキンソン病が極端に少ないことが明らかとなっている。その理由は、糖尿病もパーキンソン病も、いったん病気を発症すると100歳まで生き延びる可能性が極めて低いためと考えられる。実際、糖尿病患者の平均寿命は糖尿病を発症していない人に比べて男性で9.6年、女性で13年も短いことが知られている。
それでは、インスリンと寿命とは、どのような関係があるのだろうか? 高齢者でインスリン抵抗性(インスリンの効きにくさ)を調査すると、90歳以上の人でインスリンの抵抗性が急に改善して(インスリンが効きやすくなって)いることが明らかとなっている。一見すると、「90歳になったら糖尿病が治る」と錯覚してしまいそうな結果だが、実際には、もともとインスリンの効きが良い人だけが90歳以上まで生き延びていることを示唆している。
となると、インスリンの効きをよくすることが長生きの大きな一歩となることがよくわかる。具体的には、三浦敬三さんの食卓にあったような玄米、みそ汁、納豆、野菜、根菜、海藻などの食材を選べば、がんの発症リスクを減らすことができそうだ。また前々回、このコラムで紹介した、糖質(炭水化物)を制限する「ケトン体ダイエット」も空腹時のインスリンの濃度を抑える結果が出ている。お勧めしたい。
※週刊ポスト2012年12月7日号