いよいよ迫ってきた衆院選。民主党の惨敗、そして自民党の躍進が予想されているが、ジャーナリストの田原総一朗さん(78才)は、「自民党は公明党と組んでも過半数には届かない」と予測し、次のような可能性も指摘する。
「選挙後のいちばんのポイントは、安倍さんが民主と組むか、維新と組むか、ということ。もし維新と組むことになった場合、必ずしも安倍首相になるとは限らないと思います。石原さんが首相になりたがっていますから、自民党に連立のためのそういう条件を突き付け、石原さんが首班指名される可能性もありえますよ」
選挙の結果しだいで政権の枠組みがどうなるか、誰が首相になるのかも予測がつかないというのが現状。だとすれば、やはり自分が納得できる政策を打ち出している政党、そして政策を実現してくれそうな、信頼できる政党を選ぶしかない。
では、どのように選べばいいのか。フリーキャスターで事業創造大学院大学客員教授の伊藤聡子さん(45才)は言う。
「まず自分が今、最も必要だと思う政策が何かを考えるといいでしょう。世論調査を見ると、景気対策を重視している人が多いようですが、その場合、各党の景気対策だけを比較しがちです。注意しなければいけないのは、それが社会保障政策や財政赤字への取り組み方、外交や原発などと関連しているということ。
例えば、景気回復と社会保障政策はバラバラに論じられがちですが、実は密接な関係にあります。しっかりとした社会保障政策を進めて、老後の不安を取り除かないと、いくらお金があっても、誰もお金を使えません。そうなれば、日本の景気は一向によくならないことになります」
なるほど、将来の不安があればお金を使うより貯金に回したほうがいいと考えるのは当然だ。「これは他の政策でも言える」と伊藤さんが続ける。
「原発をどうするかも景気回復に密接にかかわっていて、企業活動には巨大なエネルギーが必要です。もし景気回復をいちばんに考えるならば、脱原発でエネルギー不足に陥って企業活動が停滞する事態は、私たちの給料にも跳ね返ってきますから、マイナスでしょう。
もし景気回復を積極的に謳いながら、一方で脱原発を打ち出していたら、そこには矛盾が出てくるかもしれません。外交もそうで、今や日本はアジアを含めて海外とうまくつきあわないと経済は立ち行きません。当然、中国や韓国などと対立を煽るばかりでは景気の回復も望めません」
※女性セブン2012年12月13日号