最近ではすっかり「あけおめーる」(「あけましておめでとう」をメールで送ることの略語)に押されて、年々届く年賀状の枚数が減っている……という人も多いのではないだろうか。個人情報にナーバスになっている時勢から、連絡に必要なメールアドレスや携帯電話番号はともかく、住所のやり取りをする機会も激減しているため、いざ“あの人にも送ろう”と思っても、送り先がわからない――ということもしばしば。
こうした背景から5年前にSNS大手のmixiが、年賀状を送付したい相手がmixi登録者であれば、住所などの個人情報がなくても年賀はがきを送れるサービス「mixi年賀状」を開始した。以来SNSサイトだけでなく、同様の年賀状サービスが増えている。
こうしたサービスのメリットは、「住所がわからなくても送れる」というのはもちろん、自宅のパソコンで簡単に、短時間で年賀状制作ができて、投函する手間も省ける。また寄付ができるチャリティ年賀状やWebで観られる映画年賀状など、オプションが手軽に選べること、条件によって各種割引があるといったバリエーションの豊富さも挙げられる。
コストパフォーマンスを見てみると、仮に300枚の年賀状を出す場合、大手ポータルYahoo! Japanの年賀状サービスを例にすると、標準テンプレートで大口割引サービスを利用すれば、1通あたり55円の印刷費とはがき代50円のみで3万1500円(自分で投函する場合は、別途配送料)。また1通ごとに、個別のメッセージを添えられる。
街のプリントサービスでは、はがき代や印刷費のほかに基本料金、Web年賀状なら標準の宛名印刷がオプション価格で加わり5~6万円になるケースも。自宅プリントは一見安くできそうだが、実際はビジュアル素材を買ったり、インクカートリッジ代やプリンターの電気代などで3~4万円程度という試算になり、料金と手間の兼ね合いを考えるとWeb年賀状は“かなり効率がいい”と言えそうだ。
しかし手間やコストを抑える方法があるとはいえ、忙しい年の瀬に年賀状の手配をするのは、多少なり“面倒だ”と思ってしまいがちだし、メールのラクさに流されそうになる。
そこで周囲の20~50代の各年代に「お正月に年賀はがきが届くと、どう感じるか? 少ないと、どう思うか?」などについて聞いてみたところ、元々年賀状文化のある30代後半以上の世代は「年賀状が減ると、友達が減った気分になる」といった意見が多かった。「小学生時代、冬休み明けに『年賀状何枚もらった?』『誰から来た?』というのを確認し合って、友達の多さを競ったりしていたせいかも」(40代・男性)という理由も納得できる。
一方で携帯・メール世代といえる若い年代も「メールでもいいけど、はがきをもらうと、より繋がりを感じる」(20代・男性)、「普段はメールだから、はがきだと特別な感じがするし、プリントの文字でも個別のメッセージとかがあると“ちゃんと自分に手間をかけてくれた”とわかって嬉しくなる」(20代・女性)と、普段とは違うコミュニケーションに好感度が高いようだ。
もらった時に“ほっこり”嬉しいものだし、ちょっと手間はかかるけれど、その分気持ちが伝わりやすく、繋がりが実感しやすい年賀はがき。手軽なコミュニケーションが浸透している今こそ、“使える”アイテムといえるのかもしれない。