習近平体制がスタートした中国。政治への関心はかつてないほど高まっている。現地で取材していたジャーナリスト・富坂聰氏に届いたメールとは。
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18大(中国共産党第18回全国代表大会)を終えた中国では、国際情勢や政治を風刺したショートメールが飛び交っている。
筆者が北京を訪れていた期間、携帯電話に届いた2つの政治ジョークを以下に紹介しよう。まず世界各国で権力交代が続いた2012年を総括したこんなジョークだ。
アメリカ人:我が国は午前中に投票すれば午後には大統領が明らかになる。すごいだろ!
中国人:何を言ってるんだ。われわれの国では5年も前から次の指導者が誰になるか分かっていたよ。
北朝鮮人:それならば我が国では生まれたときから分かっていたよ。
日本人:うちの国ではしょっちゅう選挙をしているが、いまの首相が誰なのか、誰も知らない!
日本人としては複雑な気持ちだが、核心をついていてなかなか面白い。
続いては、18大後に新たに選出された中国のトップ人事(7人の政治局常務委員)を皮肉ったこんなジョークだ。習近平、李克強、張徳江、兪正声、劉雲山、王岐山、張高麗のそれぞれ同じ発音の当て字を皮肉った内容だ。
新たに発表された中国最高指導部のメンバーの名を聞いたある人物は、手を叩いて喜び、
「これで中国の未来は明るいぞ!」
と叫んだ。
「だって、洗尽貧(貧困を一掃)、立刻強(即刻強くなり)、漲得奨(名誉が高まり)、遇正昇(上昇気流に出会い)、留運山(運にも恵まれ)、旺気山(大きく繁栄し)、漲高哩(株や債券が上がる)というメンバーだろ?」
もちろん現実の中国が大きな貧困を抱え、弱く、国際社会で不名誉な地位にあり、株価が一向に上がらないことを皮肉っているのである。