夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、証券会社勤務のご主人(51歳)。奥様(48歳)のためにラジコンカーを改良しました。
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ティッシュを取ろうとしたら切れていて、女房に「新しいティッシュ箱を持ってきてくれ」と呼ぶと、「私も手が離せないのよ。トイレの棚の上に置いてあるから自分で取って」といわれたことがきっかけでした。
僕はラジコンカーが好きで3台持っているんですが、「古いのを車輪と動力部分だけにし、その上にティッシュを載せたら、どこにいても持ってこさせられる」とひらめきました。各部屋にティッシュを置かなくていいので、節約にもなります。女房の前で操作してみせると、
「便利でいいわ! もう1台、改良して」
「どうするんだ?」
「アナタ、晩酌中、台所で洗い物をしている私に『もう一本!』っていうじゃない。ラジコンカーが台所に来て、酒を運んでくれれば、手間が省けて助かるわ」
「わかった、やってみよう」
ところが、リモコンの操作を誤り、台所からリビングのカーブを切り損ね、グラスが倒れて焼酎はこぼれて床に。「もったいない! アナタって本当にそういうのってダメね!」途端に女房のカミナリです。
「ちょっと失敗しただけじゃないか」
「ちょっとじゃない! 結婚22年、アナタの操縦テクニックの下手さは、私、助手席でもベッドの中でも痛感してるのよ!」
こんなことで女房の本音を聞くとは……ショック。
※週刊ポスト2012年12月14日号