11月の大相撲九州場所をなんとか9勝6敗、いわゆる「クンロク」で乗り切った新横綱・日馬富士だが、周囲からは早速、矢のような批判を浴びている。前場所終了時には、「一段と強くなった」などとべた褒めしていた鶴田卓彦・横綱審議会委員長は、
「2ケタ勝利に届かないのは横綱の資格がない」と掌を返し、澤村田之助委員もこう斬り捨てた。
「引退ですよ」
そもそも、場所前から不安はあったという。親方の1人が語る。
「秋巡業では平幕相手に稽古で負けるシーンが見られ、大丈夫かと皆が心配していた。そうしたら、2日目にいきなり平幕・隠岐の海に負けて不安が的中した。9日目、全勝の豪栄道戦は審判の誤審で命拾いしたが、負けていたら、8勝7敗という成績だった」
しかも、九州場所では素行の悪さも目立った。白鵬が場所中は禁酒しているのに対し、タニマチとの付き合いがあったのかもしれないが、日馬富士は毎日のように中洲に繰り出していたという。前半は何とか朝稽古に出てきたが、後半戦は朝稽古も休みがちになった。
「初日の朝稽古後に、報道陣を稽古場に招き入れて異例の取材に応じたが、カメラがないことをいいことにタバコを吸いながら応対していた。ベテラン記者の間では“負けが込んだときに(こういう悪態が)書かれるのに”と呆れていた」(スポーツ紙記者)
※週刊ポスト2012年12月14日号