各党が激しく火花を散らす衆院選。国民としては、各党の政策をよく吟味したいところ。特に気になるのが、「原発」についての政策。国民の約7割が「脱原発」という意識調査もあることから、原発推進を高らかに打ち出している政党は皆無。しかし、ジャーナリスト・大谷昭宏さん(67才)はこう警告する。
「脱原発といっても、自民党のように3年間の猶予を持って考えるという党もあるし、共産党は即刻停止、社民党は2020年まで、民主党は2030年代までというように、掲げている看板の中身は全然違う。でも、例えば即刻停止となったときに、その後の電力供給はどうするのか。全部の自然エネルギーを足しても7%ですから、残りの93%はどうやって賄うの? と。
主に火力発電で対応するなら、電気代の値上がりは避けられませんからね。そういったことにどう対応するのか、みんな“脱原発”の看板だけ出して、店の中身はどうなっているのかわからない。そんな看板にひっかかったらえらい目にあいますよ」
脱原発も、たんにムードに乗せられてしまったら、後で痛い目にあう可能性もあるというわけだ。その実現性を含めて、各党の“脱原発”の中身を見極める必要がありそうだ。
また、国防・外交についての政策も注目だ。自民党の安倍総裁が憲法を改正し、自衛隊を「国防軍」にすることを公約に掲げたことから、にわかに争点として浮上してきた。竹島を不法占拠する韓国や、尖閣諸島問題で強硬姿勢を強める中国への毅然とした対応が求められているが、ジャーナリストの田原総一朗さん(78才)はこう指摘する。
「ひとつの流れとして、ナショナリズムが日本を覆っています。もうちょっと軍事力を強くしろ、もっと力のある外交をやれということです。アメリカの共和党がその立場で、自民党はそうですし、維新の会もややこちら寄り。一方、アメリカの民主党は対話を重視し戦争に訴えないという姿勢で、日本の民主党もきちんとそうしたことを言うべきですが、それが言えていないところが問題ですね」
※女性セブン2012年12月13日号