野田佳彦首相は、「(増税の)実施前に国民の信を問う」といって消費増税法を成立させ、岡田克也・副総理は、消費増税はマニフェスト違反だと批判されると、「けしからんというなら、次の総選挙でそういう投票行動をしてもらえばいい」――そう開き直った。それに審判を下すのが総選挙で一番に問われる争点である。
消費増税法が成立したとはいえ、増税の実施前には閣議決定が必要なため、まだ有権者の1票で増税を止めることは可能なのだ。そこで阻止するにはどんな落選運動が有効なのかを3段階でみていこう。
【1】落選運動の対象の見極め
マニフェスト破りの戦犯たちはもちろん、消費増税法案に賛成した候補には投票しない。前職の候補であれば消費増税法案の採決に賛成したか、反対か、棄権かという具体的な行動で選ぶことができる。
増税法案に賛成したのは民主党の他に、自民党、公明党、国民新党、旧たちあがれ日本(維新に合流)の5政党だが、民主党は賛否が分かれ、大量の造反が出た。
【2】政党選択と足切り
選挙区に増税反対の複数の候補がいる場合、他の政策を見て選択することもできるが、消費増税阻止を最優先するなら、嫌いな政党でも3極の中で最も「当選確率」が高い候補に投票するのが次善の策である。自民、民主が1位と2位を競り合っているなら、なおのこと3極のうち1人に票を集めた方が抜け出せる可能性が出てくる。
【3】選挙後の政権組み合わせ
総選挙後、増税反対の政党だけで政権を取るのは現実的に難しい。そこで見落とせないのは、増税賛成派の自民党内にも、「デフレ脱却がなければ消費税率は上げられない」と財政出動・金融緩和を掲げる安倍晋三総裁ら成長重視派と、財政再建のために増税は必要という石破茂幹事長ら財政再建重視派の路線対立があることだ。
増税反対政党の躍進で自民党の単独過半数を阻止し、第3極の中で成長重視派のみんな、維新などが政権運営に影響力を持つ状況になれば、少なくとも「景気回復なき増税」は非常に難しくなるはずだ。
※週刊ポスト2012年12月14日号