先日、NHK紅白歌合戦の初出場者歌手が発表されたが、きゃりーぱみゅぱみゅ、ももいろクローバーZ、ナオト・インティライミ、三代目 J Soul Brothers、ゴールデンボンバーなど、ちょっと変わった名前のアーティストが多いことに気づく。紅白出演組以外でも、今年デビューしたティーナ・カリーナ、家入レオなど、ユニークな名前のアーティストが増えているのだ。その背景について音楽評論家の富澤一誠さんに聞いた。
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アーティスト側の狙いのひとつには、名前にキャラクターを持たせることがあると思います。きゃりーぱみゅぱみゅ、ももいろクローバーZも、名前自体がそのアーティストの雰囲気やイメージを形作ってますよね。ナオト・インティライミも、本名の中村直人よりもおしゃれで洗練された印象を出すことができている。三代目J Soul Brothersは、三代目を“襲名”するということでどこか和の印象も加わり“格”がある感じが出ています。
ここ数年、アーティストにとって、以前にも増して名前が重要になってきていると考えられます。これだけインパクトのあるユニークな名前が増えている背景のひとつには、CDが売れなくなったこともあると思います。
レコード会社やアーティスト本人も、音楽性だけではなくそれ以外の部分でも他のアーティストと差別化しないと、注目されにくいと感じているのでしょう。そのひとつの現象として、こうした名前が増えてきているのだと思います。1960年代後半から1970年代前半にかけてのグループ・サウンズブームや、1990年代のビーイング系のアーティストが乱立していた時代とは大きな違いと言えます
グループ・サウンズが爆発的に売れたころは、ザ・タイガースや、ザ・スパイダースといった、ザ・ビートルズをまねしたグループ名が急増。CDがもっとも売れた1990年代には、B’z、ZARD、WANDS、DEENらビーイング系アーティストを中心に、アルファベットのみで構成されたバンド名が増えました。ブームに乗ればレコードやCDが売れたこうした時代と違って、今は音楽のジャンルも多岐に渡りCDも売れないなかで、アーティスト名もより個性が求められているのです。
過去にも横浜銀蝿、モーニング娘。など、名前でインパクトを与えるアーティストはいました。ただ、これだけ増えてきているのは今の時代のひとつの特徴と言えます。一度聞いただけではわかりづらい名前も多いですが、それだけに強烈な印象を与えている。変わった由来がある名前も多く、友人同士で名前の由来について“知ってる?”“そういう意味なんだ~”という会話にもつながり、名前を覚えさせる効果も生まれています。