今回の衆院選で注目を集める「第三極」。なかでも、「日本維新の会」に次いで、支持を集めているのが、公示直前に結党された「日本未来の党」だ。嘉田由紀子滋賀県知事を代表とする未来の党はいったいどんな思惑で結党されたのだろうか? 経済アナリストの森永卓郎氏が分析する。(『メルマガNEWSポストセブンVol.43』より抜粋)
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衆議院選挙の公示まで残すところわずか1週間の11月28日に、日本未来の党が結党を届け出た。嘉田由紀子滋賀県知事を代表として、「国民の生活が第一」、「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」、「みどりの風」の一部が合流した。
「小沢一郎の政治生命は絶たれた」。民主党から小沢グループを追い出したときに、野田総理ら「反小沢グループ」は、小躍りして喜んだはずだ。しかし、小沢一郎は死んでいなかった。裁判で無罪を獲得したあと、復活するシナリオをしっかり練っていたのだ。自らが率いる「国民の生活が第一」を解党し、小沢氏に代わってイメージや見た目のよい嘉田氏を前面に押し立てた未来の党に合流する。小沢氏本人は一歩退いて、一兵卒となった。
実はこれは、2003年9月に小沢氏率いる自由党が解党し、民主党に吸収合併された「民由合併」のときとまったく同じ風景だ。小沢氏はそのわずか2年半後の2006年4月に民主党代表の座を獲得している。
いまから思えば、初めからこうしたシナリオを小沢氏は用意していたのだろう。国民の生活が第一の解党を決める会議はわずか20分で終了したし、そもそも「国民の生活が第一」という長い党名も、最初から捨てるつもりだったからつけたのかもしれない。「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」に関しては、もっとそうだ。こんな長い名前が通用するはずがないからだ。
民由合併のときと比べて、日本未来の党の場合は、もっと早く完全な小沢新党になる可能性が高い。民主党で経験したように途中で失脚することもないはずだ。党内に強力な反小沢勢力がいないからだ。民主党には岡田克也、前原誠司、野田佳彦、仙谷由人といった強力な反小沢メンバーがいた。しかし、未来の党にはいないのだ。
ちなみに今回、未来の党に合流することになった旧減税日本の河村たかし氏は、自由党時代の仲間であり、自由党という党名の名付け親だ。小沢氏と河村氏は、元の鞘に戻ったのだ。