選挙期間中、何気なく目に飛びこんでくるポスター、時間ぴったりに回ってくる選挙カー、など、候補者の選挙活動には、必ず理由がある。これらを知ることで、選挙の面白さは何倍にも膨れあがる。
解散を機に町中に溢れた2連(ツーショット)ポスター。中には候補者本人より夫人の方が目立つ夫婦ポスターもあるが、公示日になると2連から候補者1人のものにめまぐるしく貼り替えられる。
そこで起きるのが掲示場所争い。信号待ちのドライバーの目に入る信号機の側、夜でも見える街灯の下、ゴミの収集所の壁は「ポスター銀座」と呼ばれて争奪戦が行なわれ、そこを押さえた候補は運動員が多いということで有力候補のバロメーターになる。
そして、ポスターで重要なのは背景色。デザイン企画の専門家によると、色白の候補には赤やオレンジなど暖色系、色黒なら寒色系が映えるが、とくに女性は写真撮影時にフラッシュを目一杯焚いて色白に見せる候補が多いという。カラーユニバーサルデザイン機構などの専門機関に色のチェックを依頼するケースも少なくない。注意が必要なのは地域によって好まれる色が違うことだ。
「みどり区、青葉区など地名に色がつく選挙区の有権者はその色を好み、首都圏の中央線沿線ならオレンジなど電車の色に親しみを感じることが調査でわかった。色を外すと票を減らします」(自民党議員秘書)
JR中央線沿線の選挙区なら美白加工写真の暖色系ポスターで当選が近づくが、緑区、青葉区では禁物。
※週刊ポスト2012年12月14日号