血液型はいくつかの病気に関係しているというのは、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でもおなじみの脳科学者・澤口俊之氏。いったいどういうことなのか? 澤口氏が解説する。
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血液型は、いくつかの病気に関係しているという研究もあります。その代表が「がん」です。これまで、「血液型」と「がん」の関係は、かなり調査されてきました。その結果(現時点では)、血液型の違いによって、がんになる場所の確率に差があることがわかってきています。
例えば、A型の人は、すい臓がんと胃がんになりやすいという報告があります。また、B型の人は、食道がんや胆道がん、卵巣がんになりやすいようです。
ただこれはあくまで他の血液型との比較ですから、「A型だから、すい臓がんになる」というものではありません。他の血液型に比べてA型の人は、すい臓がんにかかるリスクが統計的に高いという意味です(論文によりますが、1.5~2倍程度)。
O型の人は、こうしたがんになりにくく、またがん以外でも、例えば、心臓疾患(特に冠動脈心疾患)のリスクが最も低いという報告があります。
血液型は、死亡率とも関係しています。この種のデータは、あくまでも「傾向」として捉えていただきたいのですが、B型の人ほど早く死にやすいというデータがあります。この研究は、生存率を調べたもので、B型の人の生存率カーブが集団として見て最も悪いというものです。
しかし、矛盾を感じられるかもしれませんが、これは、B型の人の寿命が短いという意味ではありません。
一方には、100才以上生きる人たち(超長寿者)にB型の比率が高いというデータもあるのです。
血液型に関するこうした科学的なデータが得られるようになったのは、血液型にかかわる遺伝子が、脳をはじめとする他の臓器など、さまざまな遺伝子群にも関係していることがわかってきたからです。
したがってこの先、血液型の違いの研究がさらに進めば、他の臓器の病気予防や治療に役立つ日がくるかもしれません。
※女性セブン2012年12月20日号