かつての大晦日といえば、レコード大賞と紅白歌合戦が国民的な関心事だったが、今やさっぱり盛り上がりに欠ける状況だ。そんな状況の中で民放の中では最強のコンテンツを持っているのが、昨年、視聴率3冠をフジから奪取した日テレである。
『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』の大晦日スペシャル「絶対に笑ってはいけない○○シリーズ」は、今年で7回目を迎える。ダウンタウンら出演者が、そこかしこに仕掛けられた「笑いのトラップ」に必死で耐えるというバラエティで、今年のテーマは「熱血教師」、つまり「学校」が舞台だ。視聴率は15%超と安定しており、大晦日の風物詩として定着している。日本テレビ社員がいう。
「普段の『ガキ使』の視聴率は苦戦しているが、大晦日のこの企画のために1年無理して続けているといっていい。番組をまとめただけのDVDも飛ぶように売れる。とにかくオイシイ番組です。幹部は“何十年でも続けたい”と真顔でいっています」
しかし日テレ側の思惑に反して、番組を企画から取り仕切る松本人志は「もうこの辺でええんちゃう?」とスタッフらに話しているという。
「松本さんは番組のマンネリをとにかく嫌がる。周囲には“これ以上やるとイタくなる。オッサンになってハリセンでケツを叩かれるのもアホくさいし、50代になる前にやめたほうがええんやないか”と話しています。松本さんは来年9月で50歳ですからね。大きなビジネスなのでそう簡単には止められないでしょうが、来年以降はどうなるかわからない」(前出・日テレ社員)
確かに番組のマンネリ感は否めない。ダウンタウンの元マネージャー・藤原寛氏がブサイクなコスプレで出てきたり、最近テレビで見なくなった大物俳優が意外なところから姿を現わしたり、「おばちゃん」や「板尾のヨメ」と呼ばれるキャラが大暴れしたりと、例年、基本構成は全く同じだ。
「番組全体が間延びしすぎ。わざわざ大晦日に見るより、録画して後から早送りしながらサッと見た方がいい」(30代会社員)というドライな意見が多い。『かくし芸大会』(フジテレビ)など、栄華を極めた国民的番組が、マンネリ化のために視聴者に飽きられ終了した例は多々ある。「最強コンテンツ」とはいえ油断は禁物だろう。
※週刊ポスト2012年12月21・28日号