景気低迷のせいか、ここ数年で圧倒的に増えたという“家飲み”派。ライフメディアのリサーチバンクの調査では「1年前に比べて、家飲みの頻度が上がった」という回答が21%にものぼった。そんな家飲み派に人気の酒といえば、ビール類、そしてチューハイなどが代表的なものだが、近頃は、その傾向に変化が見えはじめている。
会社帰りにスーパーやコンビニで買える材料を使ったカクテルとおつまみのレシピを紹介した『コンビニ部屋カクテル』(集英社刊)を執筆した、銀座の名バーテンダー酒向明浩氏はいう。「できあいのものではなく、自宅でひと手間加えて家飲みを楽しむ人が増えています。そのおかげで、いまホワイトスピリッツ類やそれを割るものとしてのジュースなどの副材料の販売も伸びているようです」
そしていま家飲み派のあいだでふたたび脚光を浴びているものがある。その一つが「コーヒー焼酎」だ。数年前にタレントの哀川翔が、テレビで紹介し話題になったことでも知られるあれだ。焼酎のボトルにコーヒー豆を漬けこんで、4~5日寝かせれば出来上がる。ほのかな苦みと香ばしさが特徴で、九州や沖縄の飲食店などではオリジナルのコーヒー焼酎を出す店も少なくないという。
トータル飲料コンサルタントで焼酎きき酒師でもある友田晶子氏も、コーヒー焼酎を愛飲する一人だ。
「わたしも自宅でオリジナルのものを作っていました。梅酒と同じ感覚ですね。カルーアなどの濃厚なコーヒーリキュールを使ったお酒は食後に飲むものが多いのですが、コーヒー焼酎はさっぱりとして食中酒としても楽しめる。焼き鳥などの炭火焼きや、鱈の西京焼きなど脂ののった魚と合わせても、よりおいしいと思います」
とはいえ、焼酎にコーヒー豆を漬けこむという手間が必要なため、飲みたいときにすぐに飲めないという弱点も。そこで、より手軽な缶コーヒーを利用する方法が注目を浴びている。使う缶コーヒーについて友田氏は「焼酎はシンプルな味わいのお酒ですから、合わせるコーヒーは香りを感じられるブラックがいいですね」と語る。
そこで酒向氏に、旨い「コーヒー焼酎」の作り方を教えてもらった(香料ゼロの『UCCブラック無糖』と宝焼酎『純』を使用)。
【ロック】
コーヒーと焼酎の割合はおおよそ1:1で。ロックは氷選びに気を使いたい。家庭用の冷蔵庫の氷はすぐに溶けて水っぽくなりやすいため、スーパーやコンビニで買えるかち割りを用意するなどしたい。
【焼酎コーヒー割】
コーヒーと焼酎の割合の目安は3:1から4:1くらい、ウイスキーの水割り相当のレシピ。お酒の強さに応じてお好みで配合のこと。コーヒーの香りが良く、アルコールはあまり感じられず非常に飲みやすい。
【ホットコーヒー焼酎】
あたたかいコーヒーに、焼酎を落としたもの。割合の目安は3:1から4:1くらい。コンビニのあつあつの缶コーヒーにお好みで焼酎をたらして、アウトドアでも楽しめる。これからの季節にぴったりの飲み味。
【ホットコーヒー焼酎&ミルク】
ホットコーヒーに、アイリッシュウイスキー30mlを加え、ざらめを加え生クリームを浮かべた冬を代表するカクテル、アイリッシュコーヒーの焼酎版。いわばジャパニーズコーヒー。ざらめなしでもすっきりと飲める。
ちなみに焼酎のコーヒーの組み合わせは、健康面からみても相性が良いようだ。友田氏は語る。
「焼酎にはウロキナーゼという血液をさらさらにする酵素を増やす効果があり、悪酔いしないともいわれます。一方でコーヒーには、利尿作用や覚醒作用、アルコールの分解促進や、脂肪分解作用が期待できるので、健康面でも焼酎との相性もいい。ブラックであればカロリーもゼロですし」
ただし、飲みすぎにはご注意を。