野田首相の突然の解散は、テレビ界にも大きな影響を与えている。12月16日の衆院選当日は、各局が選挙特番を組んでいるが、ライバルのフジテレビと日テレは、あまりの巡り合わせの悪さに唇を噛んでいるはずだ。フジテレビの編成部門の社員が悔しげにいう。
「昨年から鳴り物入りで始めた漫才グランプリの『THE MANZAI』が、選挙の日とモロかぶりになってしまったんです。開票が始まる8時からは、宮根(誠司)さんを起用した選挙特番を放送しなければならないため、『THE MANZAI』の放送は夕方5時半からと異例の早さのスタートになった。
視聴者が政治モードになっているのに、お笑いを流してウケるのかどうか……。さらにいえば、超高視聴率番組の『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』もその日は放送できない見込みです。もう踏んだり蹴ったりですね」
一方の日本テレビは、独占生放送するサッカー・FIFAクラブワールドカップの決勝と選挙が重なってしまった。キックオフは夜7時半だけに、「試合中継の間の開票速報はL字型画面で対応する見込み」(日テレ関係者)という。
他局が選挙ばかりを報じている間にサッカーを放送すれば、選挙に興味のない視聴者が集まる可能性もあるが、「選挙特番もサッカーもどちらも単体で数字が取れるコンテンツなのだから、やっぱり重なるのは痛い」(前出の日テレ関係者)との意見も多い。
※週刊ポスト2012年12月21・28日号