いよいよ12月16日に総選挙が行なわれるが、個人投資家はどう動けばよいのか。総選挙後の資産運用の注目ポイントについて、経済アナリスト・森永卓郎氏が解説する。
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日本株で資産を殖やしたい投資家は、今後どのように行動したらいいのか。いずれにせよ、政権の行方がわからない総選挙までは動くべきではありません。そして、もし第三極政権になったとしたら、経済政策を見極めないと怖くて投資ができないので、しばらく様子見でいいと思います。
一方、自民党主導の政権になった場合は、早ければ2013年のうちにも株価急騰局面が考えられるので、そのチャンスに乗り遅れないためのウォーミングアップとして、少しずつ買い始めていいでしょう。
実際に、自民党が「日本経済再生プラン」で明記した2%目標のインフレターゲット政策が行なわれれば、デフレは確実に終わり、世の中の風景は一変します。デフレからインフレに切り替わると、この15年間で半値になった株価や地価などの資産価格が、大きくジャンプアップすることになります。2014年春には日経平均株価が1万6000円になっても不思議ではありません。
また、大幅な金融緩和がなされるので、為替相場も一気に円高が解消される。リーマン・ショック前の1ドル=110円程度の円安水準まではすぐに戻ってもおかしくありません。
デフレからインフレに切り替わった際に、真っ先に急騰が予想されるのは金融株や不動産株などの景気敏感銘柄、そしてリート(不動産投資信託)です。
金融株は、デフレ脱却とともに国債価格が下がることにより、損失を被って破綻する企業もあるかもしれないので、うまく立ち回れるかどうかを選別する必要があるのが留意点です。とはいえ、生き残った金融機関の株は、急激な値上がりも期待できます。リートも、都心など一等地にある不動産を組み込んだものを選別するのがよいでしょう。
続いて、円安が進めばその恩恵で収益が回復する輸出関連株が狙い目となります。これは、素直に業界を代表する大手企業に投資すればメリットを得やすいと思います。
それから、自民党も第三極もリーダーたちは軍備拡張論者なので、どちらに転んでも防衛予算は拡充されると思われますから、三菱重工や日立といった防衛・軍需関連株は要注目となるでしょう。
※マネーポスト2013年新春号