歌舞伎俳優として絶大な人気を誇った中村勘三郎が、12月5日、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)のため57歳で亡くなった。多くの人を惹きつけ魅了してきた勘三郎が歌舞伎界に残した功績はとてつもなく大きい。
勘三郎を失ったことは、興行面にも極めて大きな影響を与えることが予想される。
「勘三郎さんのチケットは常に即日完売。歌舞伎界で間違いなく“最も客の呼べる役者”でした。元気な時には、1年のうち10か月も舞台に出ていましたから、それが一気になくなってしまった。松竹にとってはかけがえのない財産を失ったということです。決して大袈裟な話ではなく、松竹の株価が下がることだってありえると思います」(歌舞伎関係者)
生前、「僕は歌舞伎が大好きです。生命と同じくらい重いものだと思ってる」と、語っていた勘三郎。早すぎる人生の閉幕を、誰よりも嘆き、悔やんでいるのは間違いなく彼自身だろう。
※週刊ポスト2012年12月21・28日号