衆議院選挙後に安倍晋三政権が誕生する可能性を指摘する声も多いが、安倍氏と新聞各紙の距離感はかなり異なっている。前回の安倍政権批判の急先鋒だった朝日新聞は総裁選後いち早くインタビューするなど関係改善を図っている。一方、読売新聞や日経新聞は安倍氏の金融政策を危険視している勢力がある。
だが、そうした「安倍氏との距離感」以上に大メディアが注力する至上命題がある。第3極潰しだ。
衆院解散後、維新やみんなの党、減税日本、生活などの合従連衡を報じる記事が典型的だ。大メディアは連携が失敗すると「維新・みんな 冷えた共闘」(11月24日付産経新聞朝刊)、成立すると、「野合か大同団結か」(11月18日付日本経済新聞朝刊)という論調で報じる。要は「どちらに転んでも批判する」というスタンスだ。
上智大学文学部新聞学科教授の田島泰彦氏は第3極批判の背景をこう読み解く。
「自民党も民主党も記者クラブ制度を温存する方針。それに対して、第3極政党の主な政治家に共通しているのは、小沢氏や亀井氏のように取材をオープンにしたり、石原氏や橋下氏のように大メディアの報道姿勢に怯むことなく苦言を呈するなど、どちらかというと既存の枠組みを壊しそうなタイプ。そういった自分たちの立場をおびやかしそうな政党にはさまざまな手段を駆使して批判しているのでしょう」
※週刊ポスト2012年12月21・28日号