尖閣問題、反日デモなど、2012年の日本は中国に翻弄された。習近平体制へと移行する中、日本はどう対峙すべきか。中国に毅然と向き合い、台湾の独立と民主化を守り続けた元総統の李登輝氏が、日本は現在の中国にいかに対抗するべきか語った。
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中国を相手にするには、恐れず、怯まず、強い姿勢で臨むことが重要だ。かつて、私が台湾の民主化を遂げた時もそうだった。
1996年の台湾総統選挙で私が優勢になると、中国は台湾海峡にミサイルを撃ち込んで威嚇したが、米国が空母2隻を派遣すると、途端に押し黙った。こうしたやり方は中国の常套手段だ。
まずは「ミサイルを撃ち込むぞ」と脅して出方を観察し、相手が怯えて自分が威張れそうなら無理難題を通そうとするが、毅然とした態度で対応されて不利となると、それまで威張っていたのが嘘のように平然と矛を収めるのである。
竹島や尖閣諸島の周辺海域について橋下徹大阪市長などは「共同管理」を唱えているというが、極めて危険な発想だ。日本が譲歩すれば、中国は「共同管理」を理由に尖閣に上陸し、周辺海域を我が物顔で航行するようになる。米国と肩を並べたがっている中国の太平洋進出戦略は、尖閣の領土化から始まるのだ。
※SAPIO2013年1月号