中国の増長に反感や危機感を抱いているのは日本だけではない。新刊『中国に立ち向かう覚悟』(小学館)を上梓したジャーナリス・櫻井よしこ氏によると、中国と敵対しているインドでは、日本とロシアがタッグを組んで中国と対抗する戦略が期待されているという。
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対中牽制という視点に立てば、ロシアとインドの関係が大きな意味を持ちます。中国はこの十数年間、インド洋支配を目指してインドを取り囲む形で軍事基地や軍艦の収容が可能な大規模港湾を整備してきました。
海上ではこの“真珠の首飾り”作戦によるインド封じ込め体制を構築し、陸上では中印国境線から深くインド側に入った地域まで領有権を主張しています。インドの警戒心は強く、インドとロシアの波長は対中国で一致しているのです。
インドはアメリカとの関係を急速に強め、日米、オーストラリアとの連携を深めたいとする一方で、そこでロシアも加えたいと考えています。さらに東南アジア、韓国が加われば、地政学的に中国封じ込め体制ができ上がります。
インドの戦略家たちは日本がロシアと緊密な関係になることは、対中牽制で非常に効果的な戦略だと言います。
※櫻井よしこ著『中国に立ち向かう覚悟』より