毎週、週刊ポストの書評委員がオススメの本を紹介する「この人に訊け!」。今回は、「2013年を乗り切るためにこれを読め!」と題し、エコノミストの森永卓郎氏が、「消費税を問い直す」ための3冊をピックアップした。以下、その3冊と森永氏の解説だ。
【1】『消費増税亡国論』(植草一秀/飛鳥新社)
【2】『税が悪魔になるとき』(斎藤貴男、湖東京至/新日本出版社)
【3】『日本を滅ぼす 消費税増税』(菊池英博/講談社現代新書)
あれだけ盛り上がっていた消費税増税論議が、消費税引き上げ法案の成立後、すっかり下火になってしまった。ただ、あきらめるのはまだ早い。消費税引き上げ法には景気条項がついていて、引き上げの決断をするのは、2013年秋だからだ。
【1】は、消費税引き上げの政治的背景を明確に描き出している。まず税金に群がるシロアリたちを退治せよという国民の声を無視して、財務省がどのようなやり方で「消費税引き上げやむなし」という空気を作ったかよく分かる。
【2】は、消費税を引き上げると、生活や中小企業経営に何が起きるのかを示している。国税の滞納件数や滞納額の半分は消費税だ。消費税を転嫁できない中小企業は地獄に陥るのだ。
そして、【3】が示すのは、そもそも消費税を引き上げる財政上の必要性の薄さと、引き上げた後の経済への壊滅的悪影響だ。消費税を引き上げる必要があるのかというところに立ち返って、もう一度冷静な論議をやり直すべきではないのか。
※週刊ポスト2013年1月1・11日号