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公共投資必要と安倍氏説くも不要の橋やトンネルに税金流れる

 20年以上にわたる日本研究で知られ、『日本/権力構造の謎』の著者であるK.V.ウォルフレン氏は、今回の政権交代で日本の官僚独裁主義が復活したと指摘する。以下はウォルフレン氏の解説だ。

 * * *
 私は、いまこの国で行なわれているのは、「震災復興」ではなく、「戦後復興」の継続だと考えている。

 日本で戦後目標となった経済の再建は、終戦後は確かに道理にかなったものだったが、それが自動的に生産能力の拡大政策に切り替わり、戦後60年以上たった今も、変わることなく続いている。官僚たちは、「国が無限の産業発展を続ける」という集団的記憶をいまだに守り続けているのだ。

 日本はすでに過剰設備の状態にあるが、誰も「我々はすでに十分に成長したのだから、今度は違う政策を試してみようではないか」とはいわない。震災はそれを転換する大きなきっかけとなるはずだったが、その機会は残念ながら失われてしまった。

 その後を引き継ぐ自民党の考えも、もちろん同様である。安倍晋三氏は「日本は経済再生のためにお金を使うべきだ、公共投資が必要だ」と繰り返し説いている。だが、そのお金はどこに流れていこうとしているのか。国会議員たちが自分たちの選挙区向けに全く必要のない橋やトンネルにお金をつぎ込む。これまでに慣れ親しんだ「戦後復興プログラム」そのものではないか。

※週刊ポスト2013年1月1・11日号

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