『きょうの料理』『あさイチ』(ともにNHK)などで人気の料理研究家、“ばぁば”こと鈴木登紀子さん(89才)が、母親直伝という南部雑煮のレシピを紹介する。
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私の母が作ってくれた「南部雑煮」は、いくらのたっぷり入った豪華なものでした。故郷の青森県八戸は海の町でしたから、こんなぜいたくができたのでしょう。三が日はこの南部雑煮をいただきました。
作り方(2人分)は、まず、いくら大さじ4に酒大さじ1をふっておきます。
大根150g、にんじん・ごぼう各30gは3cm長さの短冊切りにして、大根から順にゆでます。鶏ささみ肉2本はそぎ切りにし、酒・薄口しょうゆ各小さじ1をふります。
鍋にだし汁3カップと大根、にんじん、ごぼうを入れ、ひと煮立ちさせて鶏ささみ肉を加えます。塩・薄口しょうゆ・酒各小さじ1/2で調味してください。調味料は必ず味をみながら加えますよ。足し算はできても、引き算はできませんからね。
温めたお椀に野菜を少量ずつ敷き、やわらかくしたおもちをのせます。紅白のかまぼこ各1切れずつと残りの野菜、鶏肉、そしていくらを見栄えよくのせ、熱いお汁を張ります。
最後に三つ葉、ゆずの皮をあしらって出来上がりです。
いくらを少し添えるだけで、おもてなしにも充分な風格になります。「大切に思われている」ことが伝わりますから、お客様にも必ずや喜んでいただけるはずです。
ところで、4日目以降はというと、せん切り大根を主体ににんじん、油揚げなどを入れ、みそで味を調えた上で、青みにせりを散らした「ひき菜雑煮」をいただきました。この伝統は、鈴木家、そして私の娘たちの家庭でも受け継がれております。
昔は、具材と味つけを変えることで、お雑煮を飽きずに楽しむこと、そして普段の暮らしの心構えに戻ることを促したのでしょうね。 こんな素朴な「ひき菜雑煮」もまた、私にとりましては、こっくりとおいしい、忘れがたき“おふくろの味”です。
※女性セブン2012年12月27日・1月1日号