いまや中国政府寄りの発言を繰り返し、「中国の広告塔」となった感がある往年のアクションスターであるジャッキー・チェンがふたたび、「香港では中国政府批判のデモが多すぎる。規制すべきだ」などと中国共産党政権を擁護する発言を行ない、香港市民から反発を買っている。
これはジャッキー・チェンが広東省で高い人気を誇る『南方人物週刊』の単独インタビューを受けた際の発言で、同誌2012年12月11日付けに掲載された。
それによると、ジャッキー・チェンは「1997年7月の中国返還後の香港は変わってしまった」として、大きな変化について、「香港はデモの都になってしまった。ひまさえあればデモをしている人がいる。私は毎日のようにデモを目にしている」と指摘。
さらに、香港では「中国政府を罵って、その指導者を罵倒する。何でも罵り、デモもするようになった」と現状を嘆くとともに、「何について、デモをしてもよいのか。何についてはデモをしてはいけないか。デモを規制すべきだ」と述べて、香港ではデモを規制すべきと主張した。
ジャッキー・チェンは2009年、「香港と台湾は自由過ぎる」、「中国人は管理されるべきだ」と発言し、激しく批判されたが、その反省もなく、今回もその主張を繰り返した。
「中国人は管理しなければならない。交通ルールは守らなければならない。ニセモノだって野放しにはできない。法を守らせるのならば、それを誰がやろうとも、私はその政府を支持する」と前置き。香港行政長官がメディアや市民から批判されていることについて、「香港にはこれまで3人の行政長官が誕生したが、この3人とも就任したと同時に批判されている。私は断じて行政長官を支持するね」と中国寄りの行政長官を批判することに強い不満を示した。
また、ジャッキー・チェンは自身が20代のときの話として、1982年に公開された映画『ドラゴンロード』を台湾で撮影中に、違法駐車していた自動車の4本のタイヤをナイフで突き刺してパンクさせたことを告白。「『ここに車を停めないでください』と張り紙を貼ったが、効き目がなかったのでやった」と正当化している。
そして「それから、もうその車は見なくなった。暴力やルールを守らない人に立ち向かうには暴力が必要だ」との“持論”を展開した。
一方、ジャッキー・チェンは10月、台湾でのイベント出演の際、尖閣問題について触れ、「歴史的にみても、中国のものだ」との中国政府の見解通りの発言を繰り返した。
ちなみに、ジャッキー・チェンは2009年6月、中国映画人協会(中国語で「中国映画家協会」)副主席に選出されるなど、中国政府と良好な関係を築いている。