保険とは、加入者が損する保険ほど、保険会社にとってはうま味のある商品である。ならば、保険ビジネスの裏側を知り尽くしたプロたちは、自分と家族のためにどんな保険を選び、どんな保険を避けているのか。国内大手生保勤務 33歳独身のケースを見てみよう。同氏が契約しているのは以下2つの保険である。
○ライフネット生命「かぞくへの保険(定期死亡保険)」
○ライフネット生命「じぶんへの保険(終身医療保険)」
「社会人になりたての頃、大手生保のアカウント型という保険に加入しました。貯蓄性のある終身保険の部分はごくわずかで、いくつもの掛け捨ての定期保険が特約として組み合わされた保険です。しかし保障にムダが多すぎるということに気づいたので解約しました。
大手国内生保の主力商品である『定期特約つき終身保険』や『アカウント型』などの複数の保障がセットになった商品は、とにかく難解です。一般の消費者には、まず理解できるものではない。複雑に設計することで、他社との比較を難しくし、保険料が他社よりも高いことを気づかせない目的があるのではないかと思うぐらいです。
私はシンプルな掛け捨ての商品を扱うライフネット生命の保険に加入しています。他社ですが、保険選びで大切なのは「わかりやすさ」です。とにかくわかりやすく、掛け捨てで保険料と保障内容が納得できるものを選びました」
そして、外資系生保勤務 47歳・妻と子供(大学生)という男性は以下の保険に入っている。
○団体定期保険
「知人が国内大手生保の営業マンだったので、付き合いで定期特約つき終身保険に加入しました。しかし、業界で経験を積むと、バカらしくなってやめました。
いまは団体定期保険にしか加入していません。団体保険とは、特定の企業や労働組合など団体に所属する人を対象に募集する保険です。正直なところ、保険業界で働く仲間のほとんどが、自社で販売している複雑な商品よりも、シンプルな掛け捨ての団体保険をメインで考えています。
どんな団体保険でも、だいたい一定期間の死亡に備える定期保険と、入院などに備える医療保険の2種類くらいが中心です。私は子供が独立するまで死亡保障2000万円の団体定期保険に加入しますが、それで十分です。
団体保険の特徴は、とにかく保険料が安いこと。1年更新の定期保険では、その年度に支払われた死亡や入院などの保険金が少なければ、保険料の一部が還付金として返されるので、実質的には個人向けに販売している自社商品の半額ぐらいになっています」
※週刊ポスト2013年1月11日号