100万円を元手に、3年間で28億7000万円の馬券を購入し、約30億円の払い戻しを受けていた男性が都合6億9000万円を課税された問題。不服を申し立てた男性は大阪地検に告発され、所得税法違反の罪で起訴されて公判中だ。
一般的に競馬の場合、1年間で90万円を超える払戻金があれば、所得税法上は一時所得として申告が必要とされている。国税庁によると課税の対象となるのは、その収入を得るために直接要した金額を控除し、その残額から50万円の特別控除額を控除した額の2分の1である。
しかし、ここで問題となってくるのがハズレ馬券につぎ込んだお金が「必要経費」とみなされないという点だ。
国税庁の考え方によれば、1年間でトータル200万円分の馬券を買って100万円になったとしても、「90万円を超えているから、払い戻しのあった100万円分の税金を払え」「控除の対象となるのはあくまでも当たり馬券だけだ」ということになってしまう。トータルでは100万円負けているにもかかわらずだ。
熱心な競馬ファンなら、1年間の払い戻し金額のトータルが90万円を超えるという人も少なくないはず。その人たちは、いつ「一時所得を申告していない」と、追徴金を課せられても不思議ではないのだ。
※週刊ポスト2013年1月1・11日号