「経済を取り戻す!」──ガッツポーズで経済再生を訴え、先の衆院選に大勝した自民党の安倍晋三“新首相”(58才)がノッている。
選挙前から「+3%以上の経済成長」「大型の補正予算」「大胆な金融緩和」と次々に景気対策を口にしたことで、市場の期待は高まり、日経平均株価はこの1か月でぐんぐん上昇。12月19日の終値は1万円を突破して8か月半ぶりに大台を回復した。同日の上げ幅は2012年最大となり、9000円台前半で低迷していた1か月前がウソのようだ。
「+3%以上の経済成長」──と口で言うのは簡単でも、問題は実行力だ。安倍政権が起爆剤に掲げている「公共事業の大復活」は、どの程度の効果があるのか。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんが言う。
「民主党政権は『コンクリートから人へ』のスローガンの下、道路や公共事業費を3割削減しました。しかし、自民党は景気対策として、トンネルや橋などの防災力を強化する公共事業を復活させると明言しています。具体的には、今後10年間で官民あわせて200兆円もの資金を投入するという『国土強靭化計画』です」
実際、自民党はすでに10兆円規模の補正予算を打つことを目指して動き、年明けの通常国会に提出することがほぼ決定。深野さんは、公共事業で国が率先してお金を使うことで、“バブルの種”をまく狙いがあると解説する。
「不景気の今は、本来お金を使う余裕のある企業や市民まで消費を控え、亀のように縮こまってしまっています。安倍政権が描くのは、まず国が“大盤振る舞い”の姿勢を見せることで、当分の間、“地方や民間が儲かっていく”と安心させること。そうすれば、民間もお金を使うようになります。
景気は、気分に左右される面も大きいので、一度好転すれば、企業の業績が上がって雇用が増え、社員の給料が上昇して家計の消費が増加するシナリオになります。国が率先してお金をぐるぐると回すことで経済を活性化する試みですね」(深野さん)
※女性セブン2013年1月10・17日号