「アベノミクス」と呼ばれる、自民党・安倍晋三総裁による経済政策では、「大胆な金融緩和」による物価の上昇が掲げられている。
現在行われている金融緩和は、日本銀行が国債を大量に買い取るなどして、市場に資金をジャブジャブ供給することで、企業や個人にお金を積極的に使ってもらおうという施策のこと。お金の価値を下げ、モノを買い求める人が増えれば、物価は自然と上がっていく。つまり、インフレが起こるのだ。
その際に、どこまでインフレを許すかの数値目標(インフレターゲット)として、安倍政権は物価上昇率を2%と定め、日銀も検討を始めた。
でも、物価が上がると家計は困るのに、どうしてインフレが景気対策になるのだろうか? ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんが説明する。
「これまでの日本経済は、インフレとは逆で、お金を使うことをみんなが控えて、物価がどんどん下がっていくデフレの状態でした。デフレだと安くモノが買えて家計は助かりますが、一方で企業の収益が悪化して社員の給料が上がらず、株価が低迷して国の経済成長を阻みます。さらにデフレの場合、10万円する新品のテレビについて消費者は『もう少し待てば値下がりするかも』と思い、買い控えをするので、いっそう消費が冷え込みます」
一方でインフレになると消費者マインドが変化する。10万円のテレビの例でいえば、将来的に11万円に値上がりするかもしれず、「欲しいモノは早く買ったほうが得」と財布のヒモを緩めやすくなる。
「同様に企業も『お金の価値が下がる前に使ってしまおう』と、新しい設備を整えたり、土地を買ったりと、投資に意欲的になります。こうして消費や投資を増やして景気を上向かせることが安倍政権のインフレターゲットの狙いです」(深野さん)
※女性セブン2013年1月10・17日号