その歌声は以前にも増して、人々の胸を打った。
『FNS歌謡祭』(フジテレビ系・12月5日放送)で5年ぶりにステージに立った華原朋美(38)。歌唱力は人気絶頂の頃よりも格段に上がっていた。歌い終わった後、思わず手で口を覆って泣き出す華原の姿は、多くの視聴者の涙を誘った。
華原は私生活のトラブルが原因で睡眠薬などの薬物依存に陥っていた。2007年6月、いったんは所属事務所を解雇され、事実上の引退状態にまで追い込まれた。
感動の復活の裏には厳しいボイストレーニングをこなし、元所属事務所の社長にデモテープを送り続けるなどの地道な努力があった。
これは華原ひとりの努力で成し遂げられたものではない。華原には両親と3人の兄弟がいるが、皆がそれぞれ華原の復帰を祈りバックアップしてきた。
休業中、心身のバランスを崩していた華原は、自分自身を見つめ直すために、フィリピンに渡りボランティア活動に励んだ。現地で難民児童を救済するNPOを運営する父親の勧めだったという。本誌は華原が海を渡った2010年の秋頃、本人からこんな話を聞いている。
「孤児院で子供たちのお世話をしてきました。最初は『誰、この人?』って感じで無視されていたけど、何度か通うと『トモミ』って呼んでくれるようになったのが嬉しかった。お父さんが『誰かの役に立つことをしなさい』といってくれたのがきっかけでフィリピンに行ってきたけど、人間的に成長できるような気がする」
※週刊ポスト2013年1月1・11日号