中国の胡錦濤国家主席が12月6日に地方視察を終え、北京に戻った直後、緊急入院をしていたとの情報が明らかになった。「ストレスによる過労」と診断され2日間で退院したが、胡主席は糖尿病を患い、心臓病や顔面神経痛の持病があるとされる。
病状が悪化すれば、胡主席の発言力が弱まるのは必至で、江沢民前主席や習近平総書記との権力闘争に大きな影響を及ぼすのは必至だ。北京の外交筋が明らかにした。
胡主席は中国共産党の第18回党大会後、11月16日に党中央軍事委員会拡大会議に出席。その後は2週間、動静が途絶えていたが、12月1日から6日まで貴州省を視察。6日夕には北京に戻り、自宅で風呂に入った際、急に意識不明になり倒れたという。
すぐに、市内の高級幹部専門の解放軍三〇一病院に運ばれ、集中治療室(ICU)で手当を受け、意識が回復。医師団の診断結果は「過労」で、特にストレスで心身ともに、極度に衰弱している状態だった。
胡主席は党大会における党最高指導部人事をめぐって、江氏や習氏らと激しい権力党争を展開。党政治局常務委員7人のうち江氏に近い幹部が6人を占めたほか、胡主席自身も留任するとみられていた党中央軍事委主席の辞任に追い込まれ、来年春の完全引退が決まるなど全面的な敗北となった。
同筋によると、党大会後の胡主席は精神的にも肉体的にも衰弱が激しく、軍事委拡大会議後は自宅で静養していたというほどだ。その後、無理をおして、貴州省視察を強行したことで、健康状態が悪化し、入院となった。
胡主席は1980年代のチベット自治区トップ時代にも高山病のため任地を離れかなりの期間、北京で静養するなど、体質的に強い方ではないといわれていた。
「胡主席については日ごろから糖尿病や心臓病を抱えているとの情報が流れており、今回の入院で一気に健康悪化説が浮上した」と同筋は語る一方で、胡主席は依然として党内序列1位で、「3月の引退後も、腹心で次期首相に内定している李克強・副首相ら中国共産主義青年団(共青団)閥の後見人として発言力を残すとみられていたが、今後の江氏や習氏らとの権力闘争に影響するのは明らかだ」と指摘する。