50歳時点で一度も結婚したことがない「生涯未婚女性」の割合は10.6%――。2010年の国勢調査から、こんな衝撃的なデータが出たのは記憶に新しい。来年4月1日には、ずばり“シングルアラフォー女性”たちをターゲットにした新雑誌『DRESS(ドレス)』(ギフト)も創刊される。同誌は創刊から1年、米倉涼子(37)が表紙モデルを務めるという。
トレンドウォッチャーとして知られる『日経エンタテインメント!』編集委員の品田英雄氏が、最新トレンドから見た妙齢女性たちの恋愛事情について解説する。
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スマートメディアの台頭によってIT化はますます進んでいます。そこで私が注目しているキーワードは「タッチ」です。7インチタブレットの流行、交通系ICカードの全国共通化など、みな肌感を持ったものがトレンドを生んでいます。それが人と人とが直接触れ合い、五感に訴えるタッチにまで拡がったら凄いと思っています。
既にその兆候はあります。ラジオパーソナリティーのルーシー・ケントさんやDJオッシーさんなどが恵比寿で月1回行っているダンスクラシックのイベントは、フェイスブックでしか呼びかけていないのに、毎回500~600人がリアルに集まってきます。
また、私は10年前からサルサに熱中しているのですが、ペアダンスを踊った女性から「手がすべすべですね」なんて言われて以来、スキンケアを気にするようになりました。今年、男性用スキンケア商品が注目され、1万円以上する男性化粧品が売れたのも、触れ合う感じを大切にする人が増えたからではないでしょうか。
恋愛だって肌感覚が合わないとうまくいきません。そこで、タッチから始まる婚活サービスが始まっても不思議はありません。
いまの結婚情報サービスのいちばんの問題点は、男女を繋ぐマッチング機能は上がっても、単純なスペック比較に偏りすぎるあまり、お互いに「好き」「大切にしたい」という感情が芽生えない。結婚した際のメリット・デメリットばかりを考えてしまうのです。
シングルアラフォー女性たちは、そんな結婚「する」「しない」でイヤな思いをしてきた人たちも多いでしょう。40~44歳のシングル女性はわずか4%しか結婚までたどりつけず、生涯未婚の数はどんどん増えているといっても、彼女たちは決して結婚「できない」わけではありません。
「大人の女性」の魅力はたくさんあります。経験豊富で話していても楽しいですし、なにより触れ合いも含めたコミュニケーションスキルの高さが目立ちます。いまのネット世代のように一方的に喋る女性は嫌われるということにも気付いているのです。
シングルアラフォー女性の恋愛対象は、「バツイチ」「年下」「外国人」の割合が多いそうです。世の中には独身のアラフォー男性も余っているのに、こんな選択肢になったのは男性側にも責任があります。
女性を褒めることが極端に少なく、花やプレゼントはあげても扉を開けてあげるなどのサービスはしてあげない。おまけにスキンシップは大の苦手ときている。結局、「褒める・あげる・触れる」の3要素が備わった男性はバツイチや外国人だけなのです。
来年は、これまで「負け犬」と言われ続けてきたシングルアラフォー女性たちの逆襲が起こるでしょう。私はタレントのジローラモさんと「東京にいい男を増やす運動」をしています。ぜひ男性たちも恋愛指数を上げてもらいたいですね。
【品田英雄/しなだ・ひでお】
1957年生まれ。学習院大学卒業後、ラジオ局(現・ラジオ日本)を経て日経BPに入社。1997年『日経エンタテインメント!』を創刊して編集長に就任。その後、同誌発行人を経て編集委員に。2012年10月より日経BPヒット総合研究所上席研究員を兼任する。