ビジュアル系バンドのファンの女性は「バンドギャル」「バンギャル」「バンギャ」などと呼ばれ、彼女たちの間ではより省略した「ギャ」という呼称が使われることもある。他方でビジュアル系が好きな男性は「ギャ男(ぎゃお)」などと呼ばれることもしばしばだ。
ビジュアル系のバンドマンとバンギャルが交際するケースは非常に多いが、高校時代に自称・ビジュアル系バンドマンと交際していた元バンギャルさん(Aさん24歳:都内の銀行勤務)が、当時の様子を振り返る。
「出会ったきっかけは学校帰りに新宿でナンパされたことでした。見た目はどう見てもバンドマンで、背中にベースを抱えていたんです。高校時代は麺(※メンバー)の“つながり”にあこがれている時期があったので、連絡先を交換しちゃったんです」(Aさん)
そこから交際に発展したというが、徐々にAさんの中で違和感が募っていった。
「雑誌にも載ってるバンドマンだと自称しているんですが、自分のバンド名も麺としての名前も教えてくれないんですよ。“恥ずかしいから”とごまかされて。
あとでギャの友達に相談したら、彼はあるバンドの追っかけをしている、ただのギャ男だったと判明したんです。化粧をしていない姿だと、宣材写真を見比べてみても分からないので、調べられないですよね。だから自分ではバンドはやっていなくても騙しやすかった。別に本当のことを言えばいいのに……と思いました」(同前)
バンドマンはモテる、という意識が「バンドマンになる」ことを駆り立てるだけでなく、「バンドマンのふりをする」ことも駆り立てた一例だ。ビジュアル系バンドマンとギャ男の違いが、スッピンの私生活では大差ないということを表わしているのかもしれない。