日本経済がデフレ不況の暗く長いトンネルを抜ける時がやって来ようとしている。国際金融コンサルタントで「経済の千里眼」の異名を持つ菅下清廣氏が分析する。
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2013年は日本経済を苦しめてきたデフレによる「失われた20年」の最終局面になる――私はそう予感しています。
経済や景気を歴史的に分析すると、上昇トレンドと下降トレンドが一定のリズムで繰り返していることがわかります。2013年10月、その経済サイクルの転換点を示すシグナルが現われます。
詳細は2012年12月に上梓した『大富豪だけが知っている「金の坐」の法則』(小学館刊)に記しましたが、そのシグナルとは伊勢神宮で20年に1度だけ行なわれる祭儀の「式年遷宮」です。天照大神が祀られる内宮正殿の神殿域は東と西の2か所に設けられ、20年ごとに同じ形の殿舎が造り替えられることになっています。その神殿域は古来、東は「米の坐」、西は「金の坐」と呼ばれて親しまれてきました。2013年秋には米の坐から金の坐に遷ります。
実は、正殿の位置と、日本の国力や盛衰、景気には相関関係があるのです。正殿が米の坐にある時代は「内政」が中心になり、平和で国民生活が安定するとされます。金の坐の時代には「外交」が中心で、戦争や動乱が暗示されます。この20年サイクルは、現代の景気循環の理論とも合致するので、相当に確度の高い未来予測手法として利用できます。
詳しい説明は省きますが、私は金の坐に遷宮される2013年に、デフレ経済脱却の芽が出ると予測しています。いまの政治・経済状況を見ると、その予測が現実のものになりつつあります。
先の総選挙は自民党が単独過半数を達成する圧勝でした。安倍政権の政策は、金の坐の時代の暗示と符合します。領土問題が過熱する中国、韓国に対して強硬な外交姿勢を取る安全保障政策は、戦争や動乱をイメージさせます。また、金融政策の大転換は、20年にわたって財務省、日銀の高級官僚たちがとり続けたデフレ政策を一刀両断する大変革です。
この安倍政権の登場は偶然ではなく歴史のサイクルから見て必然です。金の坐の法則であり、時代の要請だったのです。
デフレ脱却の時代の空気を読んだ投資家たちはすでに動いています。マーケットでは期待感から買い相場が始まり、特に新興市場が活況を呈し始めました。いよいよ日本経済は上昇トレンドへの転換点を迎えようとしています。
そうすれば、日本人の金融資産1500兆円が一気にマーケットに流れ込み、空前の上げ相場がやってくる可能性があります。金の坐の投資戦略については、前出の新著に詳しいので、参考にしてみてください。
※週刊ポスト2013年1月1・11日号