ジムに通っているのになかなか体重が落ちないどころか、体はダルく、肩こりも…という人は多いはず。体にいいはずのスポーツが、体を壊すこともあるという新常識を「50代なのに30代に見える」南雲吉則医師が解説する。
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忘年会、新年会シーズンがやってきたね。日に日に増えていく体重に危機感を覚えて、ジョギングやジム通いを始める人も多いんじゃないかな。
ぼくも30代後半は太っていたから、スポーツクラブに通って人一倍ダイエットに励んでいた時期もあったんだよ。エアロバイクを1時間こいで、その後さらに1時間水泳したりして。それなのに、全然やせないばかりか、ジムの後のご飯がおいしくてモリモリ食べて、逆に10kgも太っちゃったりして(笑い)。
運動って、普段する習慣がない、太っている人が急に頑張るのが、いちばんよくないんだ。心臓と関節に負担がかかるからね。
それに、日頃疲れている現代人がスポーツをするための時間と体力を温存しておくことも難しい。毎日少しずつと思ってもなかなか続けられないものだから、たまにジムに行ったときに頑張りすぎて体を壊しちゃうんだよね。
これじゃ逆効果もいいところ。耳が痛い人もたくさんいるんじゃないかな?
昔のぼくみたいに、スポーツは体にいいって当然のように信じている人が多いけど、実は激しい運動のしすぎは、体にいいどころか、早死の原因になるんだ。というとびっくりすると思うけれど、これにはちゃんと理由があるんだよ。
激しい運動をすると、心臓がドキドキするよね。これは、心臓がフル回転して急激に心拍数が上がっているからで、心臓にものすごく負担がかかっている証拠なんだ。
心臓の拍動・心拍数には限界があって、生まれてから死ぬまでに20億~30億回くらいしか動かない。つまり激しい運動のしすぎで心臓がフル回転すると、心臓に負担がかかるうえに限りある心拍数を無駄に使ってしまい、寿命を縮めてしまうんだね。
ジムには通わなくても、近所を走っていますっていう人もたくさんいると思うけど、これも同じ理由で寿命を縮めているから、あまりおすすめできないな。
さらに、夕食後のジョギングは絶対NG。なぜって、食事の後は、消化吸収のために副交感神経が優位になって、体がお休みモードになるんだ。それなのに食後走ったりすると、お仕事モードの交感神経が優位になって、なかなか寝つけなくなる。
仕事で疲れているときは無理して夜ジョギングするよりも、夜10時から夜中の2時までの“ゴールデンタイムの睡眠”で、脳から“若返りホルモン”である成長ホルモンをしっかり分泌させるほうが、健康にはいいんだよ。
※女性セブン2013年1月10・17日号