ヤンキース・イチロー選手(39才)のそっくりパフォーマンスで注目のニッチロー(34才)。とんねるずの番組でその認知度をじわじわとあげているが、実は彼、アメリカではちょっとした有名人だ。現役メジャーリーガーたちからもその存在を知られるようになったのは、ある事件がきっかけだった。ニッチローに聞いた。
――イチロー選手の試合観戦のためアメリカにも行っているとか。
ニッチロー:2011年にはシアトルに観戦の旅に出かけました。そこであの事件が起きてしまって…(苦笑)。
――インボールキャッチ事件ですね。
ニッチロー:そうです。インプレー中のボールをファウルボールと勘違いして身を乗り出してキャッチするという失態を演じてしまいました。ちゃんと見ていなかったということもあり、すっかりファウルボールと思い込んで、キャッチして近くにいる子供にプレゼントしようとしたら、大ブーイングが起こって…。すぐに係員に連行されました。一瞬、頭の中が真っ白になりましたね。
――しかもアメリカ全土にその姿が放送されてしまったとか。
ニッチロー:試合前にアメリカのテレビ局から「今日はお前の姿をずっと追っかけるからな」と言われたんですよ。だから連行されるシーンも放送されてしまって…。でもそれを見ていたマリナーズのオーナー夫人が「彼は知らなかっただけだから、解放してあげなさい」と言ってくれたみたいで、なんとかセーフでした。大ブーイングでしたし、本気で殺されると思いました。次の日もチケットをとっていたので、“あーあ、その試合は見られないのかあ”と落胆しましたが、無事、観戦することができました。
――とんねるずの石橋貴明さんも『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の「博士と助手~細かすぎて伝わらないモノマネ選手権~」でそのことに触れていました。
ニッチロー:番組の収録で、あいさつに行ったんですが、その時も「大丈夫だった?」って聞かれましたね。おかげで顔を知ってもらえたのか、そのあと、マリナーズの球場見学をしていたら、係員から呼び出され、フェリックス・ヘルナンデス選手と対面することができました。この間、テレビ番組の企画でヤンキースのカーティス・グランダーソン選手に会ったときも“あの時の人だよね?”と言われましたし。
――日本のプロ野球関係者と会うことはあるんですか?
ニッチロー:数多く会わせていただきました。張本勲さん、古田敦也さん、小笠原道大選手などなど…。
――みなさんの反応は?
ニッチロー:そっくりって言ってくれますね。憧れの選手たちだからうれしいですよ。
――肩書きはパフォーマー兼俳優となっていますが。
ニッチロー:もともと俳優志望なんですよ。今もぼくの中ではモノマネではなくて、イチロー選手を演じている俳優というスタンスなんです。
――映画や舞台に出演経験は?
ニッチロー:今年は舞台に出ました。ただし、イチロー選手役で。あとはゆずのライブにも出させてもらいました。2012年のゆずの東京ドーム公演では5万人の前でパフォーマンスをして。あれは気持ちよかったですね。
――これからもイチロー選手を演じていく予定ですか?
ニッチロー:俳優としてほかの役もやりたいですが、やっぱりイチロー選手はずっとやっていくでしょう。2010年に10年連続200本安打を達成したとき、実はぼくの誕生日だったんです。運命を感じて、飲食店の仕事を辞めて、パフォーマンス1本でやっていくことを決意しました。
――イチロー選手に会ったら、まず何をしたいですか?
ニッチロー:シアトル事件のことを謝りたいですね。そしてものまねをやってくれと言ってくれたら、イチロー選手の目の前でひと通りのパフォーマンスはしたいと思っています。無理して会いたいとは思いませんが、何かのタイミングで会える気がするんです。それまでにもっと今の芸を磨かないと!
【ニッチロー】
1978年9月23日生まれ。長野県出身。本名・今村健太。俳優でパフォーマー。2009年より路上でイチロー選手のものまねパフォーマンスを始める。『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の「博士と助手~細かすぎて伝わらないモノマネ選手権~」第17回で準優勝。ものまねショーレストラン「そっくり館キサラ」にレギュラー出演中。