いまや新年の風物詩となっている箱根駅伝。数字が取れなくなったと言われるテレビ業界において、毎年のように20%後半台の高視聴率を記録している。
現在は日本テレビのお正月看板番組となっているが、1980年代前半はテレビ東京が中継。1987年から日本テレビに移行している。なぜ、テレビ東京は中継権を手放してしまったのだろうか。テレビ関係者が語る。
「もともと、読売新聞の主催だったため、系列局である日本テレビにすんなり中継権が渡ったのです。それに、当時の技術では電波を送る中継地点を設置できない区間もあり、テレビ東京は完全中継ができなかった。9区までは録画でダイジェスト版を放送し、ゴールシーンのある10区だけ生中継していました」
中継権を手放さざるを得なかったとはいえ、箱根駅伝というドル箱コンテンツにいち早く目をつけていたテレビ東京。その着眼点は高く評価されている。
「テレビ東京はサッカー中継も、Jリーグブームが来る前から積極的に行なうなど、先見性が高いですね。しかし、全国放送としては他キー局と比べてもネット局が少ないため、最終的には他局にお株を奪われてしまうことが多いようです」(同前)
地上波でテレビ東京の番組が観られない地域は今も変わらず存在するが、デジタル化時代の到来で、現在は、BSジャパン(テレビ東京系のBS放送)は地域に関係なく番組が見られるようになった。
「ネット局の少ないテレビ東京は地上波ではなく、BSの制作に力を入れたほうが得策。そうすれば、せっかく掘り出した鉱脈を他局に渡さずに済むかもしれません。テレビ東京が本気を出せば、地上波とBSの垣根を取り除くきっかけになる可能性さえ秘めています」 (同前)