12月に入り、日本各地でノロウイルスが猛威をふるっている。山梨では619人が、広島では1381人がそれぞれ仕出し弁当を食べて集団食中毒になり、どちらもノロウイルスが検出された。
また、国立感染症研究所の調査では、インフルエンザの報告数が7週連続で増加しており、寒さや乾燥が本格化するこれからの時期、注意が必要だという。
予防のためには、うがいや手洗いをすることが基本中の基本だが、「それに加えて、体の免疫力を上げることで、風邪はもちろん、ノロウイルスやインフルエンザなども予防する方法があります」と話すのは、修文大学健康栄養学部教授の伊藤要子さん。
伊藤さんが勧める予防法は、ヒートショックプロテイン(以下HSP)を活用する方法だ。
「病気やけがによって、体内のたんぱく質(細胞など)は損傷しますが、その傷ついたたんぱく質を修復しているのが、HSPです。
さらに、修復不可能になってしまった不要なたんぱく質を分解に導くのもHSP。HSPが増加すれば、自己修復力を高めることができるのです」(伊藤さん、以下「」内同)
だが、HSPの効果は、それだけにとどまらない。
「人間には、体内に侵入した細菌やウイルスを死滅させるナチュラルキラー細胞や、細胞にウイルスなどが侵入したことを伝達する樹状細胞などの免疫細胞がありますが、HSPはそれらを増加させたり、活性化させたりする働きがあるので、免疫力を高めてくれるのです」
つまり原理的には、HSPを増加させれば体全体の免疫力がアップし、風邪はもちろん、インフルエンザやノロウイルスなどにも感染しにくくなるというわけだ。今後、糖尿病治療やうつ病、がん治療にもなることを期待されている。
HSPはもともと体内にあるが、伊藤さんによれば、加齢とともに減少してしまうのだという。特に、60才を過ぎるころから激減するとか…。
そこで登場するのが、「42℃のお風呂」。これは伊藤さんが提唱する“HSP入浴”で、週2回、42℃のお風呂に入れば、誰でもHSPを簡単に増やすことができるというものだ。基本的には42℃のお湯に肩まで10分間つかるだけ。
「HSPは体温が1~2℃上昇する環境で作られます。運動などでも増加しますが、42℃くらいのお湯につかることで体温も38℃以上に上がるため、HSPが増加します。入浴習慣がある日本人にとっては、お風呂こそ手軽な方法です。
40℃でも41℃でもHSPは増加しますが、温度が高いほうが効率的に増やすことができる。ただし、高温だと皮膚に炎症を起こす危険性もあるので、42℃の“HSP入浴”がベストなんです」
※女性セブン2013年1月10・17日号