中国の事実上の最高指導者、習近平・国家副主席が12月初旬、中国共産党総書記就任後初めての地方視察で広東省を訪問したが、その質素な振る舞いが中国の民衆の間で話題になっている。
新華社電などによると、習副主席は12月7日から12日まで広東省の深セン、珠海、順徳、広州の4市の企業や政府機関、軍などを回り、その走行距離は150キロに及んだ。
このなかで、中国メディアは習副主席が宿泊したホテルが最高指導者の通常、利用する最高級ホテルでなく、その下のクラスだったことを紹介。実際に深センでは最高級の深セン迎賓館1号楼ではなくて、4つ星の五洲賓館で、しかもスイートルームではなくて、普通のシングルルームに宿泊。ホテル側が歓迎の意を表すフルーツバスケットもなかったという。
もちろん、習副主席の指示で、習氏が随行員や地元幹部と話し合う会議室にもフルーツ類の用意はしていなかった。
さらに、ホテルの従業員が驚いたのは習副主席が夕食をわずか20分で済ませたこと。その料理はバイキング形式で、高級料理はまったく用意されていなかったというのだ。
中国国営の中央テレビ局は習副主席が広州戦区を視察した際、部隊の食堂で、一般の兵士と席を並べて、兵士と同じものを食べている様子を放送。習副主席が兵士に「ここ(部隊の食堂)の食事と家の食事ではどちらが美味しい?」と尋ねると、兵士が「ここの方が美味しい」と答え、習副主席は「そうか。ここか」と応じるなど、習副主席の庶民的な雰囲気を演出しているようでもあった。
習副主席の質素、倹約ぶりは一部ではよく知られており、地方視察ではシングルルームに泊まり、「マイスリッパ」や「マイ枕」など日用品も持参し、歯ブラシなどホテル側のアメニティには手をつけないことが報じられていた。
このように庶民的な雰囲気で、視察先で気軽に市民と握手する姿に、ネット上では「習近平ファンクラブ」のウェブサイトが立ち上がっているという。