「本が大好きな父でした」
2011年5月、胃がんのために亡くなった児玉清さん(享年77)の長男で俳優・モデルとして活躍している北川大祐は、そう振り返る。
児玉さんといえば、36年続いた『パネルクイズアタック25』(テレビ朝日系)の司会でも知られるが、読書好きが高じて書評を執筆したり、エッセイストとしても活躍した。
病に倒れてからも、本を出版する予定が進んでいた。
「完成を見ずに亡くなってしまったので、父の遺したインタビューやメモをまとめて出すことにしたんです」(北川・以下「」内同)
児玉さんのラストメッセージとして出版された『人生とは勇気 児玉清からあなたへラストメッセージ』(集英社・1470円)には、辛口だがハートウオーミングなエピソードや言葉が詰まっている。
<クイズは人生と同じ。そのときボタンを押せるか押せないか。人生は勇気、と、毎回思う。>
「父はオールジャンルで本を読んでいました。晩年『週刊ブックレビュー』(NHK)を担当し始めてからは、本当に仕事が楽しそうでした。どんなに忙しくても書評や帯の推薦文の依頼が来ると、ほぼすべて受けていましたから」
自宅の書庫には2万冊以上の本がある。書斎の机の周りには、いくつもの紙袋が積まれている。中にはそれぞれ何冊もの本が。
「片付けが苦手な人だったんです(笑い)。後で読むつもりで積み上げて、読み終わる前に次から次へと買ってくるから、あちこち本だらけで(笑い)。
ただ、だらしないことは大嫌いで、美学を持っていましたね。ぼくが中学生のとき、ピンクが流行ったのでピンク色のシャツを着ていたら、“男がそんな色を着るもんじゃない”と叱られたり、ホテルに家族で食事に行くときにジーンズにTシャツで出かけようとしたら、“ネクタイとまではいわないが、せめてジャケットくらい着なさい”と言われたり」
入院中、見舞い客が来るとわかっている日は、朝起きてシャツに着替え、ズボンをはいて待ち構えていたそう。
「患者の正装はパジャマのはずなんですけどね(笑い)」
※女性セブン2013年1月24日号