大胆な金融緩和やインフレターゲット、大規模な公共事業投資などを推し進めようとする安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」がついに動き出した。
アベノミクスへの期待から為替相場も解散宣言からわずか1か月余りで5円近い円安へと推移している。この先政策が実行に移されれば、さらなる円安に向かう可能性は高まる。そうなれば、円高に苦しめられてきた輸出関連銘柄が息を吹き返すのは想像に難くない。
カブ知恵代表・藤井英敏氏は反発期待の高い銘柄の条件として次の4つを挙げる。
【1】海外売上高比率50%以上
【2】ROE(自己資本利益率)5%以上
【3】時価総額200億円以上
【4】予想配当利回り1%以上
海外売上高比率が高いほど円安メリットが生じ、なおかつ昨今の円高局面においても効率的な経営ができていた企業はさらにプラスに転じる可能性が高い。また、今後金利が下落傾向にある中、配当利回りも大きな魅力だという。
「たとえばキヤノン(証券コード・7751、以下同)や日産自動車(7201)の配当利回りは3%を超え、たとえ株価が大幅な上昇とならなくても、十分な配当益が期待できます。リスクをとってでもキャピタルゲイン(値上がり益)を狙いたければ、シークス(7613)や武蔵精密工業(7220)のような、少しの売買で大きく値が動く小型株に目を向けてもいい」(藤井氏)
また、アジアの新興国向けに農業機械の大幅な需要増が見込めるクボタ(6326)にも要注目だという。
金融情報提供会社フィスコの株式アナリスト・小中優氏は、こう付け加える。
「円安が進行すると、海外から見れば日本の資産が割安になるため、外国人投資家の日本株買いが加速することも予想されます。そこで海外売上高比率の高さに加え、外国人投資家の資金流入が期待できる条件も加えてみたい。
外国人投資家の保有比率が30%以上で、時価総額1000億円以上の大型株であれば海外からも投資しやすいといえるでしょう。これらの条件でスクリーニングすると、コニカミノルタホールディングス(4902)、任天堂(7974)、シマノ(7309)の3銘柄が浮上してきます」
いずれの企業も足元の業績は堅調に推移しており、円安メリットを大きく享受できる可能性が高いという。
※週刊ポスト2013年1月18日号