安倍新政権発足で政界はご祝儀ムードだが、国民の政治不信がおさまったわけではない。誰よりも政治への懸念を募らせているのが、元政界関係者の長老たちだ。
ここでは、鳩山由紀夫・代表時代の民主党で副代表を務めた熊谷弘氏(72)が、古巣の大敗北について苦言を呈す。
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民主党は政権を取って浮かれていた。
永田町にいれば役人は先生、先生とおだてるし、地元に帰らないから、有権者から愚痴をいわれることもない。
私からみれば、小沢さんも鳩山さんも岡田さんも、地上から3センチ浮いていた。国民が何に悩んでいるかが全く見えていなかったんです。
こういうことを当時から民主党内でいっていたんだけど、「古臭い、自民党臭い」といわれてしまった。みんなテレビで論客として目立ちたいという考えが強かったんでしょう。
でも政治というものは論じるだけでは動かない。地元の商店を回って、工場を歩けば、そりゃ嫌味もいわれる。だけどそれが本当の政治なんだ。
【プロフィール】
●くまがい・ひろし:1940年静岡県生まれ。77年参議院に初当選。その後、衆議院に鞍替え。通商産業大臣、内閣官房長官などを歴任。2003年引退。
※週刊ポスト2013年1月18日号