夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、広告代理店勤務のご主人(47歳)。奥様(46歳)には4歳年上の兄がいます。
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この義兄、50歳になるのに独身で気ままな一人暮らしです。困るのは人妻が大好きで、「今付き合ってる奥さんはさ……」と、我が家に来ては臆面もなく自慢話をし、「昔から男の楽しみは、一盗(人の奥さんを盗む)、二婢(お手伝いさんに手をつける)といって、一番は人妻との浮気なんだ。いいぞ、人妻は」と、僕に勧めます。
「兄さん、いい加減にしてよ! 何が一盗よ、本当に昔から盗み癖が直らないんだから!『野グソ』ってあだ名つけられてたのを忘れたの?」
「それをいうな!」
顔をしかめる義兄。義兄は高校生の時、スイカを盗みに忍びこんだ畑で便意を催し、ポケットに入っていた紙でお尻をふいたんですが、それが答案用紙。名前を書いていた紙が証拠となり、校長から厳重注意され、学校中に が広まり、「野グソ」のあだ名が。
妻が「私、妹でよかったわ。兄さんに狙われなくて」というと、義兄が僕の耳元で、「こんな奴、誰も盗む気にならないよ。そうだろ?」って、夫の僕に同意を求めないでくださいよ! 結婚18年、まァ、頷けないこともないですけどね。 ちなみに「一盗二婢」の続きは「三妾四妓(芸者等)五妻」ですが、封建時代の男のエゴです。
※週刊ポスト2013年1月18日号