安倍新政権発足で政界はご祝儀ムードだが、国民の政治不信がおさまったわけではない。誰よりも政治への懸念を募らせているのが、元政界関係者の長老たちだ。
人気俳優から1998年に政界入りし、「みどりの会議」(2002年に「さきがけ」から改名)で日本初の環境政党を目指した中村敦夫氏(72)もそのひとり。昨今の政界を“木枯し紋次郎”が斬った。
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総選挙はとんでもない結果になりました。4割の得票で7割の議席を獲るなんて、民意を反映しているとはとてもいえません。
経験も見識もなく、漢字も読めないような候補者が、追い風が吹いている党に殺到する。現在の選挙はプータローの就活戦線になっているんです。これはすべて、小選挙区制が原因です。
2大政党が拮抗するならまだしも、一方がガタガタになってしまったら、皆がもう一方の政党に入りたがって、一党独裁になってしまう。これでは大政翼賛会の二の舞ですよ。
そもそも民主党自体が、さきがけと社民党からの脱走兵が寄せ集まってできた集団でした。正式な結婚ではなく、まさに乱婚状態。そんな党がうまくいくはずがありません。
太陽の党と維新の会の合併も、私利私欲の最たるものです。石原慎太郎みたいな人物が派手なパフォーマンスをやると新聞が騒ぎ、選挙がイベント化してしまう。
あの合併は、80歳を超えた年増芸者が白粉を塗って、したたかな若手のホステスと合コンして権力を狙ったという、非常にグロテスクな画でした。
【プロフィール】
●なかむら・あつお:1940年東京都生まれ。1998年参議院に初当選。2000年、さきがけ(2002年に「みどりの会議」に改称)代表に就任。2004年引退。
※週刊ポスト2013年1月18日号