離婚率が上昇しているが、年を重ねてもいつまでも仲睦まじくいられる夫婦もいる。おしどり夫婦として知られる愛川欽也・うつみ宮土理夫妻は、どのように愛を育んできたのだろうか。ふたりが出会ったのは、今から約40年前。『きんきんケロンパ歌謡曲』という番組でコンビを組むことになった。しかし、プライベートでのおつきあいはまったくなかったという。そんなふたりがお互いを意識しはじめたのが、出会ってから6、7年目のこと。
うつみ:『シャボン玉こんにちは』が終了するとき、キンキンが親友の海産会社の社長を私に紹介して、お見合いさせたんです。
愛川:あ、そんなこともあったな。いい人なんですよ。
うつみ:キンキンがすすめるならどうかな、なんて思っていたら、事態が急変したのよね。
愛川:そう。いざ紹介してみて“あれ、ちょっともったいないかな”って(笑い)。それで親友には“やめろ”って言って毎晩、今度はぼくが彼女の実家に通うようになったの。
うつみ:家に帰ると、母の作ったぶりの照り焼きを嬉しそうに食べてたわね(笑い)。
愛川:白ごまのはいったお稲荷さんもうまかった。この人じゃなくて、お母さんと一緒になってもいいかなってぐらい(笑い)。
うつみ:決め手となったのはやっぱりそれね。育ての母がキンキンのことをすごくいい人だって頻繁に言っていたし、家族とも仲良く接して大切にしてくれたし。それに彼の仕事ぶりはまさに天才的だったから。台本だって1回さらっと目を通しただけで全部、理解できちゃうの。次第に尊敬の念が芽生えて、この人についていったら絶対に私は困らないなと思って。
愛川:まあ、その頃ちょうどぼくは六本木や赤坂や銀座に疲れちゃってね。ああいうところの女性は営業時間内だけ機嫌がいいけど、ケロンパはいつでも機嫌がいいんですよ。それは35年以上経った今も同じ。
うつみ:だってキンキンは存在自体がかわいいんですもの。私、ずっと『ロンパールーム』をやっていたでしょう。だから母性愛が強いっていうか、かわいい男性が好きなの。キンキンは戌年だから撫でると来るし、私にものすごくなついてるなって(笑い)。
愛川:犬だよね。さんざん夜のネオン街を徘徊していた野良犬が、ある日、突然飼い犬になっちゃった(笑い)。
うつみ:ユーモアとウイットのセンスもあるの。家に帰ると必ず、“今日も一日、かみさん、お疲れさん”とか、“お先に休ませていただきます”って置き手紙があって。
愛川:戦前の人だから物を捨てられないんだよね。広告の裏にテレビ局から持ってきた赤ペンで大きな字で書くの。
うつみ:6年前、韓国に約3か月間、語学留学に行ってたんですけど、帰ってきたときは、でかでかと“祝・かみさん、お帰りなさい。お待ちしていました”って書かれた垂れ幕を作って迎えてくれて。そういうのに、ウルッときちゃうのよねえ。
※女性セブン2013年1月24日号